日本ではあまり紹介されない海外のエネルギー業界最新ニュース。EnergyShift編集部が厳選してお送りする。
SINN Powerの洋上浮体式ハイブリッドプラットフォームは風力、太陽光、波力で発電する
SINN Power、世界初の浮体式オーシャン・ハイブリッド・プラットフォームを開発
2015年から革新的な波力発電システムの開発・建設を続けてきたSINN Powerは今夏、太陽光パネルメーカー各社に、ギリシャのイラクリオの浮体式プラットフォームにて太陽光パネルの試用運転を行う機会を提供する。
同社は特許を取得した浮体式波力発電システムの長年の研究開発に基づき、波力、風力、太陽光から再生可能エネルギーを生み出す、非常に頑丈でモジュール式の、それでいて安価な「浮体式オーシャン・ハイブリッド・プラットフォーム」を開発した。その構造は長期テストによって、最大6メートルの波に耐えられることが示されている。
SINN PowerのCEOであるPhilipp Sinn工学博士は「この浮体式プラットフォームはカリブ海のリゾート島へ再生可能エネルギーを供給でき、洋上風力発電所の世界的実装にも貢献が可能だ。あらゆる土地の気候状況に応じて波力、小風力、太陽光を組み合わせることができるエネルギーソリューションを、競争力ある価格で提供するのはSINN Powerが初めてである」と語った。
インド、水力エネルギーの調達義務化を提案
インド政府は、水力発電購入義務(HPO)の実施を求める電力法の改正を提案した。実施となれば、小売電気事業者は電力需要から一定の最小割合を水力発電プロジェクトから購入することが求められる。政府はまだこの最小割合を具体的に定めていない。
このHPOは、既存の再生可能エネルギー購入義務(RPO)に加えて実施される予定だ。
インドは2021年までに電力の21%を再生可能エネルギーで賄うことを目指しており、同年12月までに175GWの再生可能エネルギー容量を確保すると約束した。
2020年3月31日時点で88GW強の再生可能エネルギー容量を確保しているものの、これは大規模な水力発電プロジェクトを含まない。ここに大規模水力発電が加われば、インドの再生可能エネルギー容量は133GW強にまで増加し、目標の175GWが射程圏内となる。
専門家たちはこの動きを歓迎しており、水力のシェアが増加することで、グリッド管理者にとって太陽光や風力の不安定な性質をカバーする助けになるだろうと主張する。
India Proposes Mandatory Procurement of Hydro Electricity(CleanTechnica 2020/05/04)
カリフォルニア州から公益事業者へ マイクログリッド相互接続の加速を要求
カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)は、大規模な私営電力会社に対し、デベロッパーに更なるマイクログリッドと(山火事などからの)回復プロジェクトを構築させ、それらを急速に求める提案への投票を、2020年6月11日に実施する予定だ。
CPUCは例年、山火事シーズンのはじまりである9月1日以降を懸念している。昨年は山火事の原因となる(設備不良などの)火花を避けるため、公共安全電力停止(PSPS)の実施を行った。CPUCはこういった混乱を最小限にとどめようとしている。
CPUC理事のGenevieve Shiroma氏は「独立した電力供給を行うマイクログリッドは、必要不可欠なバックアップと(災害からの)回復力を提供することができる」と述べた。
California to Utilities: Move Faster On Microgrid Interconnection(MICROGRID KNOWLADGE 2020/05/05)
ShellとEneco、オランダで風力発電によるグリーン水素ハブ計画を発表
Shell オランダはロッテルダム港にグリーン水素ハブを建設するため、オランダの再生可能エネルギー企業Enecoとの新たな合弁会社Crosswind設立を発表した。この水素ハブは、オランダの洋上風力発電所であるHollandse Kust (noord)からの電力を利用する。
ShellとEnecoは2023年に稼働見込みの新しい風力発電所の入札に参加している(この風力発電所も水素ハブの利用が見込まれている)。入札が成功すればShellはTweed Maasvlakteにある水素発電所(容量200MW)の最初の顧客となるが、今のところ投資の最終決定はされていない。
Shellは2023年にこの水素ハブの稼働開始を目指しており、一日あたりの水素産出量はおよそ5~6万kgに及ぶと期待されている。
このグリーン水素は、まずPernis(ロッテルダム)にあるShellの製油所で燃料生産の脱炭素化に使用される予定。これにより年間約20万トンのCO2を削減する。
北東イングランドの休眠炭鉱が地熱暖房システムに
1932年以降廃止されていたサウス・タインサイドの炭鉱が、新しい再生可能エネルギー計画(予算700万ポンド)の一環として、グリーンエネルギー暖房システムに生まれ変わろうとしている。
この暖房スキームはニュー・カッスルの東、旧ヘブバーン炭鉱の浸水した地下鉱山からの地熱エネルギーを利用し、サウス・タインサイド議会の暖房に使われる。鉱山水加熱システムは太陽光パネルをエネルギー源とする予定だ。
サウス・タインサイドのJoan Atkinson議員は「2030年までに議会をカーボン・ニュートラルとするために、年間319トンのCO2削減が期待されており、この取り組み(地熱システム)は重要なものとなるだろう。町の高層住宅の暖房にも利用されるため、燃料枯渇地域の電力パフォーマンスを向上させるという我々の義務を果たすことにも役立つものだ」と述べた。
Dormant coal mine in northeast England to become geothermal heating system(electrek 2020/05/08)
(Text:鶴田さおり)