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経済大国「中国」の脱炭素に関する本音とその奥にある動機とは

2021年11月26日

なぜ中国が再エネに取り組むことにしたのか

では、③なぜ中国が再エネに取り組むことにしたのか、について触れていきたいと思う。

中国が再エネに取り組むことになった契機は、2006年に制定した再生可能エネルギー法だ。この再エネ法に、なぜ取り組もうとしたのか。その発端もまた、いま中国が直面しているのと同じ、電力危機にある。

実は、中国は度々電力危機に見舞われてきた。というのも、そもそものエネルギー需要の伸びがものすごいので、それに合わせてエネルギー供給も増やそうとしても、需要の伸びに供給が追いつかないということが度々起こるのだ。何を隠そう、今年の電力危機もコロナからの世界的な経済回復によって、電力需要が大幅に伸びたのが発端だった。世界の工場としての、中国の機能が仇となった形だ。

では、再エネ法が定められた2006年の前には何が起きていたかというと、この時もまた電力不足が起きていた。2002年より始まった電力不足は、2003年に本格化。2003年には23省・市、2004年には24 省・市で電力不足問題が発生しており、その影響は深刻なものとなった。

こうした経緯もあり、中国はエネルギー自給できる電源の確保を検討していくことになった。その結果、再エネを増やすのも選択肢の一つだ、ということになり、2006年の再エネ法の制定につながっていくこととなった。

日本が固定買取制度で再エネ導入に取り組み始めたのが2012年なので、それに6年も先駆ける形で、中国は再エネ導入を法律で定めていたことになる。ただ、これは脱炭素のためではなく、あくまでエネルギー自給が目的の取り組み。そこをしっかり認識する必要がある。

そういう意味では石炭を守りにいっているのも、再エネを導入したのも、そこの根っこは同じ、いずれもエネルギー自給だということが見えてくる。

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前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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