では、③なぜ中国が再エネに取り組むことにしたのか、について触れていきたいと思う。
中国が再エネに取り組むことになった契機は、2006年に制定した再生可能エネルギー法だ。この再エネ法に、なぜ取り組もうとしたのか。その発端もまた、いま中国が直面しているのと同じ、電力危機にある。
実は、中国は度々電力危機に見舞われてきた。というのも、そもそものエネルギー需要の伸びがものすごいので、それに合わせてエネルギー供給も増やそうとしても、需要の伸びに供給が追いつかないということが度々起こるのだ。何を隠そう、今年の電力危機もコロナからの世界的な経済回復によって、電力需要が大幅に伸びたのが発端だった。世界の工場としての、中国の機能が仇となった形だ。
では、再エネ法が定められた2006年の前には何が起きていたかというと、この時もまた電力不足が起きていた。2002年より始まった電力不足は、2003年に本格化。2003年には23省・市、2004年には24 省・市で電力不足問題が発生しており、その影響は深刻なものとなった。
こうした経緯もあり、中国はエネルギー自給できる電源の確保を検討していくことになった。その結果、再エネを増やすのも選択肢の一つだ、ということになり、2006年の再エネ法の制定につながっていくこととなった。
日本が固定買取制度で再エネ導入に取り組み始めたのが2012年なので、それに6年も先駆ける形で、中国は再エネ導入を法律で定めていたことになる。ただ、これは脱炭素のためではなく、あくまでエネルギー自給が目的の取り組み。そこをしっかり認識する必要がある。
そういう意味では石炭を守りにいっているのも、再エネを導入したのも、そこの根っこは同じ、いずれもエネルギー自給だということが見えてくる。
中国が長期的には脱炭素を選択する理由とは…次ページへ
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