河野太郎行政改革担当大臣は、7月27日に開いた再エネ等の規制点検タスクフォースで、住宅の太陽光発電の導入に関し、「住宅政策を担う国土交通省が責任を持たず誰が持つのか。このままでは2030年46%削減すら達成がおぼつかない」と国交省を批判した。国交省への批判はこれで2度目であり、河野大臣と国交省の間の隔たりが改めて浮き彫りとなった。
住宅や建築物の脱炭素化に対し、河野大臣のもとで組織された「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」と、国土交通省との溝がなかなか埋まらない。
6月28日に開催されたタスクフォースでは、河野大臣が「国交省は2050年カーボンニュートラルに向けての踏み込みが不十分ではないか」と指摘。住宅の太陽光パネル設置に関しても、「経産省、環境省3省の縦割り行政のはざまに落ち込み、誰も推進していないのではないか」と批判し、次回のタスクフォースまでに、太陽光パネルの住宅設置の最終責任者を明確にすることを求めていた。
そして7月27日に開催されたタスクフォースで住宅などの脱炭素化に向けた議論が再び実施され、国交省が責任の所在など明確化するのか、注目を集めていた。
タスクフォースでは、経産省から2030年の住宅太陽光の導入量について、新築戸建て住宅の約6割に太陽光パネルを設置することで7GW、約90億kWhを積み増すという、新たな目標を関係省庁とともに検討しているとの報告があり、一定の前進が図られた。
だが、住宅太陽光の責任の所在に関する国交省の回答は「実施主体は関係省庁」にとどまり、「早期に責任省庁を明確化すべきだ」との意見が相次いだ。
さらに東京大学の前真之准教授は、「第6次エネルギー基本計画素案では、2030年度の家庭部門のCO2排出量を66%削減するという極めて高い目標が示された。長く使われる住宅はロックイン効果が大きい。新築住宅の高性能義務化が大至急必要だ」とし、「目標達成には、2025年に「ZEHレベルの省エネ・断熱を標準化」「太陽光原則設置」が最低ライン」だと述べた。
さらに経産省の2030年度7GW目標について「低すぎる」とも指摘した。
各省庁の回答を受け、河野大臣は「国交省はカーボンニュートラルがどれほど大変なのか、理解していないのではないか。今日、新築住宅の太陽光設置義務化の議論になるかと思っていなかったが出なかった。少なくとも住宅の太陽光導入に関しては、住宅政策を担う国交省が責任を持たず、誰が持つのか。こんなことをやっていたら2030年46%の達成もおぼつかない」と厳しく批判した。
さらに河野大臣は「今日の議論はフォローアップにならなかった。8月にもう一度、脱炭素に向けていつまでに何をするのか、国交省は提示してほしい」と要請した。
河野大臣は、2050年脱炭素は「世の中をガラッと変えなければ達成できない」とも述べ、「毎週、議論しなければならないレベルだ」とも指摘した。河野大臣、そしてタスクフォースと国交省の隔たりが改めて浮き彫りとなるなか、日本の住宅分野の脱炭素を進めていくことができるのだろうか。注目されている。
エネルギーの最新記事