三菱地所グループは2021年3月25日、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)を主要な対象とした「エネルギーまちづくりアクション2050」を策定した。環境価値の最大化と社会経済活動の最大化を図る次世代のまちづくりに向け、経営資源を最大限投入し、共生型の面的エネルギー施策に取り組む。
大手町・丸の内・有楽町エリアは、約120haの敷地に約100棟、総延床面積約800万m²の大規模ビルが集積し、約28万人の就業人口を有する。三菱地所は約3割に当たる約30棟、総延床面積約300万m²のビル運営を行っている。
丸の内エリアは、平日ビジネスアワーにエネルギー需要が集中する特性を有するほか、立地企業等は首都直下地震等の災害時においても業務の継続が強く求められており、大規模停電等への対応力の確保やエネルギーの安定供給が要求されている。
また、年間の電力利用量は、エリア全体で約100万MWh 超と推定され、一般家庭約25万世帯分に相当するという。
こうした特性を持つ丸の内エリアに関して、三菱地所グループは「エネルギーまちづくりアクション2050」を策定。コアアクションとして、立地企業の業務継続力を支えるエネルギー強靭化と気候変動対策や脱炭素化に貢献する「都市型マイクログリッド」の実現を目指していくという。
都市型マイクログリッドを具現化するための3つの戦略が「供給マネジメント」、「需要マネジメント」、「つなぐ・事業マネジメント」となる。
「供給マネジメント戦略」とは、熱電一体供給体制を通した総合効率の向上、電気・熱の脱炭素化だ。
具体的には、万が一の災害や電力トラブルに対しても強靭性を有するエネルギーの安定供給力と、丸の内エリア立地企業の業務継続力向上のため、自営可能な電源(CGS※等)の保有・運営を進めていく。
また、当エリアの大規模な地域冷暖房ネットワークのポテンシャルを活かして、熱電一体総合効率向上、再エネ由来の電力の積極導入、熱供給の脱炭素化を進める。加えて、水素・アンモニア・メタネーション関連等、様々な先端技術について、実証・選択し、採用していく。
※CGS:Co-Generation System。電気を発電し、同時に発生する熱も冷暖房等に利用できるシステム
電気の脱炭素化推進に向けて、2021年度より、丸ビルや新丸ビルなど、エリア内18棟において全電力を生グリーン電力やトラッキング付きFIT非化石証書による再エネ由来の電力に切り替える。また、2022年度にはエリア内全ての所有ビルにおいて再エネ電力とする予定だ。
熱の脱炭素化にも取り組む。採掘から燃焼の工程で発生する温室効果ガスをCO2クレジットで相殺し、排出するCO2を実質ゼロと見なす「カーボンニュートラル都市ガス」の導入を進める。
都市型マイクログリッドのイメージ
「需要マネジメント戦略」では、新築ビル・既存ビルのエネルギー消費効率向上、スマート化によるマネジメント効率向上に取り組む。最後の戦略となる「つなぐ・事業マネジメント戦略」は、バイオマス発電事業へ参入予定の再エネ事業と地方創生貢献、各種エネルギー事業者との実証連携等となる。
バイオマス発電事業へ参入するとともに、発電、送配電、電力小売、ガス供給、アグリゲーターなどエネルギー関連事業者と、需要家としての取引を超えた共創関係の構築を目指すという。
三菱地所では、「エネルギーまちづくりアクション2050」を踏まえた取り組みを通して、気候変動問題への対応だけでなく、業務継続力のさらなる向上を高いレベルで両立させることで、持続可能な社会の実現を目指していく方針だ。
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