海に囲まれた日本だからこそ、波力発電を Wave Energy Technology | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

海に囲まれた日本だからこそ、波力発電を Wave Energy Technology

海に囲まれた日本だからこそ、波力発電を Wave Energy Technology

EnergyShift編集部
2020年12月02日

再生可能エネルギーには、太陽光や風力だけではなく、波力や潮力もある。国内外で研究されており、欧州では実用化も進んでいる。日本は、周囲が海に囲まれており、波力や潮力のポテンシャルは小さくないと考えられる。その日本で波力発電事業を進めようとしているのが、Wave Energy Technologyだ。取締役の田村氏に話を聞いた。

Green Power Islandとは

―最初に、会社設立の経緯からお話し下さい。

田村氏:設立は2015年11月です。当時、米国とイタリアの科学者が、波力発電の基本的なコンセプトを抱えていました。彼らと情報交換を行い、事業化に向けて会社を立ち上げたということになります。

―波力発電というと、日本ではあまり例がありません。どのような特長があるのでしょうか。

田村氏:私たちのシステムは、Green Power Island(GPI)という名称です。円筒形の構造で、内部にあるフロートが波によって上下します。このときのエネルギーを電気に変えるというしくみで、特許も取得しています。

最低60cmから70cmの波高から発電し、24時間発電が可能です。試算では、90%程度の設備利用率となっています。また、浮遊型で、景観上の問題は少なく、沖合1km以上の設置も可能です。GPIを装備し、自動で設置位置を維持するため、海底でのアンカー留めも不要となっています。標準型のGPIは直径32mのタイプで、出力は5,000kWです。

GPI構造図(日本国内特許取得済み)

発電コストは5円/kWhの試算

―とてもユニークな形状だと思います。しかし、実用化にあたっては、発電コストなどが課題になると思います。

田村氏:発電コストは、5円/kWhになると試算しています。GPIそのものの価格は、5,000kWのタイプで、将来的な販売価格はおよそ30億円になります。

―どのような顧客を想定しているのでしょうか。

田村氏:再生可能エネルギーを利用したい企業や電力会社をはじめ、地産地消の電力調達を目指す自治体、離島などを考えています。また、中東諸国などでは、海水から真水をつくる装置の電源としても使えるでしょう。さらに、洋上風力発電の補助の電源としても使えると考えています。
一方、製造にあたっても、日本の造船業の再生にもつながっていくと思います。

―実証機は稼働させたのでしょうか。

田村氏:直径1.5m、高さ20m、出力は数kW規模の実証機を作成し、データを取得しました。選んだフィールドが神戸港に面した瀬戸内海だったということがあり、このときは十分なデータを得ることができていないため、あらためて実用規模の設備をつくり、商用化したいと考えています。

(Interview&Text:本橋恵一)

Wave Energy Technology

エネルギーの最新記事