CO2の排出を抑制し、「カーボンゼロ」を目指す取り組みが世界で進められている一方で、それをさらに推し進めた「カーボンマイナス」プロジェクトも期待されている。アイスランドでは、再生可能エネルギーである地熱発電の電力を用いて、空気中のCO2を回収し、地下に貯留するプロジェクトがスタートした。
空気中のCO2の除去事業を展開するClimeworksは、CO2貯留技術を持つCarbfix、アイスランドの地熱発電会社ON Powerと、CO2除去・貯留を行うプラントの契約を結んだ。プラントは年間4,000トンのCO2を空気中から除去できるようになるという。
今回の事業の内容は、次のようなものとなっている。
Climeworksは、アイスランドの地熱公園内にダイレクトエアキャプチャテクノロジー(DAC)によるCO2除去プラントを建設する。プラントのための電力は、ON Powerの地熱発電所から供給される。また、回収したCO2は、Carbfixの技術を通じて、アイスランドの地下にある玄武岩層に永久的に貯蔵される。
Carbfixによると、パリ協定の目標達成においては、CO2回収貯留技術は不可欠とされており、今回のプラントにおける技術が発展し続けることで、気候変動との戦いにおける革新的要素となることを証明できるという。
Climeworksの共同CEOであるJan Wurzbacher氏は、「このON PowerとCarbfixとのコラボレーションは、大気中のCO2削減に向けた大きな一歩だ。アイスランドの計画地域は、再生可能なエネルギーの供給と、大気中のCO2の自然な貯蔵場所として理想的な条件を提供してくれる」と語る。
CarbfixのCEO、Edda Sif Pind Aradóttir氏は、「CarbfixとClimeworksの独自技術をスケールアップすることで、気候変動による自然災害の回避と、世界経済にとって新しい柱となる産業の確立を同時に行える。ON Power、ClimeworksとCarbfixの合意は、その目標に向けた重要なマイルストーンとなる」と語る。
ON PowerのCEO、Berglind Rán Ólafsdóttir氏は、「革新的なプロジェクトを組み合わせて、地球温暖化の解決策のひとつを生み出し、スケールアップできるかを示している。私たちON Powerはこのコラボレーションを非常に誇りに思っており、今後のClimeworkの運用をサポートできることを楽しみにしている」と語る。
なお、CarbfixとClimeworksは、今回のプロジェクトにあたって、EUのHorizon 2020から資金を受け取っている。
(Text:本橋恵一)
エネルギーの最新記事