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英国政府、2030年までに約6,000億円を水素に投資 水素経済計画を発表

英国政府、2030年までに約6,000億円を水素に投資 水素経済計画を発表

2021年08月19日

世界各国では、2050年のカーボンニュートラルを目指し、化石燃料にとってかわるグリーン水素やブルー水素の製造や利用に取り組んでいる。こうした中、各国にさきがけて英国政府は、2021年8月17日、2030年までの40億ポンド(約6,000億円)の投資を含む水素経済計画を発表した。

英国ではすでに、産業界と協力して緑の産業革命を進めており、天然ガスを水素に置き換えるプロジェクトも進められている。

現在の英国全体での水素経済は、およそ9億ポンド(約135億円)の価値があるという。これを2030年までには9,000を超える雇用を創出し、2050年までには約10万の雇用まで拡大させることで、最大130億ポンド(約1兆9,500億円)の価値を生み出す可能性があるという。そのため、2030年までに化学、電力、海運、鉄道などに対し、水素へのシフトを一定程度まで進めていくということだ。

英国政府の分析によると、2050年までに英国のエネルギー消費量の20~35%が水素ベースとなる可能性があるという。また、2050年のカーボンゼロ、2030年の温室効果ガス78%削減という目標達成にあたっても、水素は重要な役割を果たす可能性があるという。

今回、英国政府が水素を推進するアプローチは、これまで洋上風力発電の拡大に成功した手法に基づいたものになるという。その手法の1つが、差分生産方式(CfD)というスキームだ。英国では再エネについて、固定価格を決め、実際に販売した市場価格との差額を補填するという制度を導入している。その結果、再エネの電気は実質的に固定した価格で販売できることになる。水素についても同様の制度を導入し、水素の市場価格が変動しても、サプライヤーは影響を受けないという制度となる。また、この制度のための基金として、2億4,000万ポンド(約360億円)を準備することで協議しているという。

水素の種類については、再エネ由来のグリーン水素とCCS(CO2回収貯留)を用いた化石燃料由来のブルー水素の両方を対象としており、2022年には生産戦略の詳細を提示するという。

また、既存のガス供給網に対し、20%の水素を混合したときの安全性などの評価も行う。実際に混合して供給した場合、天然ガスからのCO2排出量を7%削減できる。

英国政府はこの日、水素に加えて、産業界の低炭素化の支援も発表している。こちらは1億500万ポンド(約157億5,000万円)の資金パッケージが用意されている。主に、産業用燃料の低炭素化・水素化、ブルドーザーなどオフロード車両のディーゼルのバイオ燃料化、省エネソリューションの開発などが対象となっている。

今回の水素経済計画に先行して、すでに英国では水素プロジェクトが進められている。

具体的な事例として、北海ガス田の天然ガス由来のブルー水素の生産、北アイルランドにおける水素燃料電池バスの開発、ウェールズにおけるセメント製造の燃料の水素化、ユニリーバの工場における天然ガス焚きボイラの水素化などである。

EnergyShift編集部
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