伊藤忠商事は2021年3月3日、NFブロッサムテクノロジーズと共同で開発、製造する、自社ブランドの家庭用蓄電システム「Smart Star」シリーズの新製品「Smart Star 3」を2021年5月より販売開始すると発表した。
「Smart Star」シリーズは自然災害等の停電時に強い機能と、太陽光発電システムの固定価格買取制度(FIT)期間満了に伴う自家消費ニーズを捉えたAIによる最適制御機能「GridShare」が高く評価され、累計販売台数は、2021年2月時点で4万台(約400MWh)を突破している。ネットワークにつながったAI機能付き蓄電システムは3万台(約300MWh)を超え、伊藤忠商事のAIプラットフォーム上にある分散型電源の数は年々増加しているという。
今回、伊藤忠商事は次のステージへ向けて、従来の停電時機能とAI機能の標準搭載に加え、環境と経済の好循環を生み出す次世代の分散型電源として、「Smart Star 3」を市場に投入する。
「Smart Star 3」の最大の特徴は、蓄電システム自身が新たな価値を生み出すことだ。
商業用の太陽光発電システムの自家消費電力が環境価値として取引されるのに対し、家庭における自家消費電力は、これまで認識されず“埋没価値”として見過ごされてきた。
伊藤忠商事は、今後増加する卒FIT家庭の”埋没価値”に着目し、世界で初めて、蓄電システムを通じて家庭の環境価値を取り出す仕組みを構築した。同社は、これらの環境価値を脱炭素社会の実現を目指すパートナー企業に提供し、卒FIT家庭に対しては価値に応じたポイント還元を行なっていくという。
日々蓄積する卒FIT家庭の環境価値ポイントは専用アプリで確認ができ、お買い物などに利用することで、卒FIT家庭にとって環境への貢献をより身近に感じられる製品にしたとしている。
アプリを通じてユーザーと直接接点を持つことで、伊藤忠商事のAIプラットフォームに蓄積する蓄電システムのデータを活用した既存サービスの更なる向上を目指す。
また、ネットワークにつながった蓄電システムを統合制御するバーチャルパワープラント事業、近い将来実現が期待される電力個人間取引(P2P)など、蓄電システムを活用した新たなサービスの提供を見据え、今後さらに「Smart Star 3」の独自性を高めていくとしている。
さらに、「Smart Star 3」は電気自動車(EV)向け充電機能を有しており、急速に普及していくEVの充電インフラとしての役割も果たす。
自宅の太陽光発電システムで発電した電力を「Smart Star 3」が正確に計測し、EVへ充電を行うことでクリーンエネルギーによるEV走行を促進すると共に充電網の普及に寄与していくという。
具体的には、「Smart Star 3」でEVに充電、EVが商業施設や小売店舗等へ移動し、放電することで、リアルなクリーンエネルギーの融通を可能にしていくなど、「Smart Star 3」から始まるエネルギーマネージメントを通じた新しい経済圏の創出を目指していく。
伊藤忠商事は、「Smart Star」シリーズの販売を通して、分散型エネルギーのさらなる普及を目指すとともに、蓄電池ビジネスを通じて業界や製品の枠にとらわれない、新たな価値の創出及び経済圏の確立に向けて挑戦し続けるという。
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