脱炭素に遅れると企業経営にどれだけの影響を与えるのか。飲料大手のキリンホールディングスとアサヒグループホールディングスの2社は、2030年50%削減目標を達成できなければ、22〜53億円の売り上げを失うと試算した。統合報告書などで明らかにした。
キリンホールディングス、アサヒグループホールディングスともに、2050年までにバリューチェーン全体でのCO2排出量の実質ゼロを目指しており、2030年には2019年比で50%削減する計画だ。
両社は2030年50%削減、そして2050年脱炭素に取り組まなかった場合、CO2排出量に応じて課税する「炭素税」がどれだけ企業業績に影響を与えるのか試算した。
アサヒグループでは、2030年時点で100ドル(約1.1万円)の炭素税が課税され、2050年時点では144ドル(約1万5,800円)の炭素税が導入されると想定し、影響を試算した。その結果、2030年には22.3億円、2050年には64.3億円の収益改善効果があるとした。
キリンホールディングスはさらに大きな業績改善を見込んでいる。
2030年、世界の平均気温が産業革命前より2℃の上昇幅に抑えるようCO2を削減できたなら約39億円、さらに1.5℃未満に対応するだけのCO2を削減できれば最低でも53億円の節税になるとした。
2050年は節税金額がさらに増える。2℃シナリオなら99億円、1.5℃なら最低でも136億円になるという。キリンではIEA(国際エネルギー機関)が公表した2025年63ドル(約6,900円)、2040年140ドル(約1.5万円)などの炭素税をもとに試算した。
(出典:キリンホールディングス)
炭素税の価格づけによって節税額は当然変わる。しかし、飲料大手2社の試算は、脱炭素に取り組まなければ、企業は多くの売り上げや利益を失うことを示している。
ニュースの最新記事