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日航、廃棄物バイオマス燃料で東京-札幌間をフライト 英国系スタートアップと東洋エンジが供給

日航、廃棄物バイオマス燃料で東京-札幌間をフライト 英国系スタートアップと東洋エンジが供給

2021年06月27日

2021年6月21日、英国を拠点として、廃棄物由来のバイオマス燃料の技術会社であるVelocysplc(VLS.L)は、木質バイオマス廃棄物から製造された持続可能な航空燃料(SAF)が、日本航空の商用飛行に利用されたことを発表した。

使用された便は、6月17日の東京発札幌行JAL515便。木質バイオマスでの商用飛行は世界初になるという。

使用された燃料は、東洋エンジニアリングが、VLS.Lと提携の上、同社の技術を使用して日本国内でSAFを商用化するプロジェクトに基づくもの。名古屋にある実証工場において、木材チップのガス化によって製造された水素ガスと一酸化炭素ガスから、Velocys FT リアクターにおいて製造されたもの。製造された燃料は国際規格を満たしており、現在のジェット燃料に最大50%まで混合できるという。

VelocysのCEOであるHenrik Wareborn氏は「Velocysは、木材チップ由来のジェット燃料を25%混合したものによる、世界初の商用飛行で、SAFの検証を発表できることを嬉しく思います。ガス化された林業廃棄物から合成されたSAFは、従来の化石ジェット燃料よりもCO2排出量を70%削減しています。さらに、(使用された)SAFは、従来の化石燃料よりも粒子状物質の排出量が90%少なく、硫黄の排出量が99%少なく、窒素酸化物の排出量が少ないため、大気質が大幅に改善されます」と述べている。

一方、東洋エンジニアリングのCEOである永松治夫氏は「Velocysの技術は、NEDOパイロットプラントで高効率と安定した性能を実証し、高品質のSAF、グリーンナフサ、グリーンディーゼルの生産に貢献しました」と語っている。

Velocysは、英国のオックスフォード大学と米国のパシフィックノースウェスト国立研究所の技術からスピンアウトして設立された、バイオマス燃料技術の企業で、木質バイオマス以外の廃棄物についても、分解してガス化した上で、液体燃料やナフサなどを合成する技術を持っている。

現在、ブリティッシュ・エアウェイズと共同での一般廃棄物由来のSAFの開発や、米国ミシシッピ州における木質バイオマスによるSAFの開発などを進めている。

また、航空機は電動化や燃料電池搭載などが難しいため、カーボンゼロのSAFの開発が必要とされており、2021年6月の先進国首脳会議G7サミットでも、2030年までにSAFの使用を10%まで引き上げる提案が出されている。

EnergyShift編集部
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