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九電も独禁法違反の疑い 大手電力4社に公取委が立ち入り検査

九電も独禁法違反の疑い 大手電力4社に公取委が立ち入り検査

2021年07月14日

九州電力や関西電力、中国電力などが互いの顧客を獲得しないよう申し合わせるカルテルを結んでいた疑いあるとして、公正取引委員会は2021年7月13日、独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査を行った。カルテルをめぐっては、今年4月にも関西電力、中国電力、中部電力などが立ち入り検査を受けていた。

今回、独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査を受けたのは、九州電力、九電子会社の九電みらいエナジー、関西電力、中国電力の4社。九州電力に調査が入るのは今回が初めて。

公正取引委員会は、大手電力会社が「特別高圧電力(契約電力2000kW以上)及び高圧電力(契約電力50kW以上)の供給について、共同して、中部地区、関西地区、中国地区又は九州地区における顧客の獲得を制限している疑いがある」と見て調査を進めている。

競争が制限されていれば、電気料金が高止まりしている可能性がある。

4社はいずれも立ち入り検査を受けたと認めており、「立ち入り検査を受けたことを厳粛に受け止め、公正取引委員会の調査に対し全面的に協力する」とコメントしている。

電力市場は2000年の大口需要家に対する自由化からスタートし、2016年には小売全面自由化によって、一般家庭なども電力会社を選ぶことができるようになった。また、自由化によって、さまざまな異業種が参入。特に全面自由化以降は急激に増え、新電力の数は700社を超えており、2021年3月時点で新電力のシェアは19.5%となり、競争が激化している。

こうした中にあって、大手電力会社にとっては、営業コストがかからず、安定した売り上げにつながる、特別高圧や高圧の契約をした需要家を確保したいというねらいがあったともみられる。特に全面自由化以降は、大手電力においては、離脱する一般家庭など低圧需要家の減収分を埋めるため、特別高圧・高圧の需要家を取り戻そうという営業を展開してきた。そのため、発送電分離前には、発送電事業者から電力のスイッチングの情報が大手電力の小売り部門にもたらされていたというケースもあったようだ。

また、大手電力のうちでも、福島第一原発事故以降、政府の関与が強い東京電力は他の大手電力と一線を画し、子会社のテプコカスタマーサービスを通じて、関東地方と沖縄県を除く全国で展開し、地元の大手電力などから大幅な値引きで顧客を獲得してきたことも、関係者から指摘されている。

こうした大手電力間の過当な競争を防ぐため、西日本の電力会社が売上維持を目指して、特別高圧・高圧の電気料金についてカルテルを結んでいたのではないか、というのが今回の疑惑ということになる。

カルテルが事実だとすれば、電気料金の引き下げと質の高いサービスを目指してきた電力自由化に反することにもなる。また、実際にこうした事態が続くようであれば、独占を回避するために、将来の発送電の所有分離(資本関係の解消)や発販分離(発電事業と小売り事業の分離)といったことにも発展しかねない。

EnergyShift編集部
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