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台風発電のベンチャー、今度は都心で風力発電 第一生命と共同開発

台風発電のベンチャー、今度は都心で風力発電 第一生命と共同開発

2021年07月06日

台風でも発電する次世代風力発電機を開発するチャレナジーは生命保険大手の第一生命とともに、超小型風車を開発し、今度は都心での風力発電に挑む。

毎年、多くの台風が日本に上陸・接近し、断水や停電など多くの被害を与えているが、国土交通省の試算によると、「大型台風ひとつのエネルギーは日本の総発電量の約50年分に相当する」という。この台風を新たなエネルギー源にしようと、「台風発電」と呼ばれる風力発電機を開発するのが、チャレナジーだ。

今、世界中で普及するプロペラ式風車は強風が吹いてプロペラの回転数が上がりすぎると、ブレード(羽根)が破損したり、最悪の場合、風車ごと倒壊するリスクがある。そのため、強風が吹くときはブレードの角度を変えて風を受け流したり、風速25メートルを超える台風などの場合は、プロペラの回転を停止したりして危険を回避している。

チャレナジーは2014年設立後、台風でも発電できる風力発電機を開発しようと、強風で破損する可能性のあるプロペラをあえてなくし、マグナス効果と呼ばれる現象の応用を模索してきた。マグナス効果とは、たとえば野球でボールを投げるとき、そのボールに回転を与えるとカーブしたりシュートする。このように風の中で何かを回すと揚力が生じる。

このマグナス効果を利用すれば、プロペラの代わりに入れた円筒状の棒であっても回転し発電するという。強風で破損するプロベラがないため、台風のような過酷な環境下でも発電できることから、「台風発電」あるいは「マグナス風車」と呼ばれている。

チャレナジーでは2021年中にも10kW機の量産化を計画している。

2メートル級小型風力を開発

ただし、マグナス風車でも風車部の高さが10メートルあり、都心など人口密集地では導入が制限されている。

そこでチャレナジーは風車部の高さが約2メートル、発電容量1kW未満の小型マグナス風車を開発中だ。共同開発パートナーは2019年、チャレナジーに2億円を出資した第一生命である。

第一生命は東京都世田谷区にある「第一生命グラウンド」に小型風車を設置し、つくった電力を敷地内の街灯や監視カメラのほか、災害時の非常用電源用に使う実証試験を始める予定だ。本格稼働は2022年初頭を見込んでいる。

両社は実証試験を通じて、都市部のビル外構や住宅地などへの風力発電の普及を目指していく。

EnergyShift編集部
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