温室効果ガス(GHG)の実質排出ゼロを目指す企業が急増するなか、再生可能エネルギーなどへの転換に加え、GHG排出枠(カーボンクレジット)の購入量が増加している。みずほフィナンシャルグループは増加する排出枠ニーズに応えるため、世界銀行グループと提携し日本企業に排出枠の提供をはじめる。
みずほフィナンシャルグループは8月10日、日本企業に対しGHG排出権のひとつであるボランタリー・クレジットの提供に向け、世界銀行グループである国際金融公社(IFC)と提携したと発表した。
IFCは新興国の森林保全などへの資金供給を通じ多くの排出枠を保有する。みずほは、IFCとの間で一定期間にわたり、合意した価格・数量で排出枠を売買する契約を結ぶことで、日本企業に排出枠を提供する方針だ。
ボランタリー・クレジットはGHG排出権のひとつであり、民間企業やNGOなどによって発行、管理されている。VCS、ACR、Gold Standardなどいくつかのプログラムがあり、2018年に前年比2.1倍となる9,840万トンが取引され、2019年の取引量は1億トンを超えるなど、世界的に注目される排出権だ。
すでにフォルクスワーゲンやダイムラーなどの自動車メーカーのほか、シェルやトタルといった石油メジャーも、自社で削減できない残余排出量はボランタリー・クレジットで相殺すると言及している。
また、元イングランド銀行総裁のマーク・カーニー氏が2020年9月、「脱炭素社会の実現にはクレジット市場を現在の15倍以上に拡大する必要がある」と提言し、市場拡大を目的としたタスクフォース「Taskforce on Scaling Voluntary Carbon Markets(TSVCM)」を設立している。
日本でも、東京ガスや北海道ガスなどがボランタリー・クレジットを購入することで、カーボンニュートラルLNG(液化天然ガス)を実現させるなど、今後、需要の高まりが予想されている。
みずほおよびIFCはともにTSVCMに参加しており、市場の拡大とともに、日本企業へボランタリー・クレジットを提供することで、脱炭素化を促進したい考えだ。
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