オーストラリアのエネルギー最大手ウッドサイド・ペトロリアムが、世界最大級の設備を豪州内に備え、2027年にも水素生産に乗り出す。同社のメグ・オニール最高経営責任者(CEO)が、日本経済新聞の電話インタビューに応じ、明らかになった。
計画では、水素事業での日本企業の参画も視野に入っているという。
同社は、今年10月に、西オーストラリア州パース近郊で、水素とアンモニアの製造施設の建設計画を公表している。最大で、1日1,500トンの水素を生成し、液体水素やアンモニアとして輸出するための施設で、豪州では最大規模、世界全体に目を向けてもサウジアラビアやオマーンで構想中の大型施設に並ぶものになるという。
オニール氏の言葉によると、すでに複数の日本企業と、水素やアンモニアを発電にどう利用するかについて協議が進められているようだ。さらに、日経新聞の取材に対して「24年の最終投資決定を目指し、27年にも水素生産を始めたい」と強調したという。
生産する水素はクリーンエネルギーとして期待される。再生可能エネルギー(再エネ)を使って水を電気分解し、生産時に温暖化ガスを出さない「グリーン水素」と、天然ガスから水素を取り出して、発生した二酸化炭素(CO2)を地中に埋め戻す「ブルー水素」の2種類となる見通しだ。
オーストラリアはCOP26を直前に控えた、今年の10月に「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」目標を表明。石炭やガスの産出が豊富なため、実質ゼロ目標を掲げていない数少ない先進国だったが、10年間で200億豪ドル(約1兆7,000億円)を投資するなど脱炭素へ向けた機運が高まっている。そして、化石燃料への批判が世界的に強まりつつある中、2030年までに輸出品の柱として育てたいと考えているのが水素だ。
現在の柱である液化天然ガス(LNG)事業は、三井物産や三菱商事などとも連携してきた経緯がある。今後もその事業構造は続くとみられているが、クリーンエネルギー事業を強化していく豪州の姿勢が及ぼす影響は大きくなりそうだ。
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