エネルギーの電化と脱炭素化の将来像 Enerdataが分析する世界のエネルギーにおける「電化」傾向とは | EnergyShift編集部

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エネルギーの電化と脱炭素化の将来像 Enerdataが分析する世界のエネルギーにおける「電化」傾向とは

エネルギーの電化と脱炭素化の将来像 Enerdataが分析する世界のエネルギーにおける「電化」傾向とは

EnergyShift編集部
2020/09/18
ブックマーク
EnergyShift編集部
2020/09/18
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エネルギーの情報データベースとコンサルティングを提供しているEnerdataのエグゼクティブブリーフから、注目の記事を翻訳してお届けする。今回は世界におけるエネルギー消費における「電化」と、再エネ発電などの増加による脱炭素化の見通しについて、詳細な調査・検討結果を紹介する。

世界各地における電化の傾向を分析

電化は、エネルギーを脱炭素化していくための重要なオプションとして、しばしば示されている。とはいえ、発電の大部分は石炭火力発電によって行われており(2018年は38%)、電力から排出されるCO2は現状ではゼロではない。こうした状況の中で、電化はどの程度まで進むのか。また、発電を脱炭素化していくためにはどうすればいいのか。

以下、電化と脱炭素化について、述べていく。

電化はエネルギーシフトの柱か?

結論から先に言えば、電化はエネルギー効率の改善と脱炭素の両面において有効である。

エネルギー効率(1)について考えると、一般的に熱利用においては、ボイラーなどよりもヒートポンプのような電気設備の方がはるかに優位性がある。
CO2排出原単位(排出係数)(2)についても、発電は大幅に脱炭素化される可能性があるため、温室効果ガス(GHG)排出を削減する重要なオプションである。

一般的に、電気は経済活動や社会の開発を促進し、大気など地域の環境汚染を減らすことに役立つ。そのため電化は、「すべての人に適切な価格で信頼性ある、持続可能な現代のエネルギーへのアクセスを可能とする」点で、SDGsの目標の1つに貢献することができる。

最終的なエネルギー利用は、電気に変換されている・・・ある程度は

電化のための多様な原動力

エネルギーにおける電気の割合は、燃料転換や自家用発電設備の普及によって、過去数十年にわたって増加している。世界レベルでは2000年から2018年の間に、年率3%の増加となっており、電力需要は総エネルギー需要の約2倍のペースで増加している。世界の最終エネルギー需要に占める電気の割合は、2000年の17%から2018年には約21%と着実に増加している。

しかし、国や地域によって、見られる傾向には違いがある。OECD諸国、特に米国とEUでは、最終エネルギー需要に占める電力の割合は、エネルギー効率の向上と好適な気候条件のために、2000年以降1~2ポイント上昇し、過去5年間は安定したものとなっている。

一方、中国では、電気のシェアが11%から22%以上へと倍増しており、米国やEUを上回っている上、この傾向は強くなっている。これは主に、燃料転換(エネルギーシフト)、建物内の自家用発電設備の開発、第三次産業の拡大、電気自動車の普及率が他国に比べて高いことによるものである。さらには、大気汚染の削減、中国の産業の発展、新しい産業分野での雇用創出を目的とした公共政策と投資による。

(出典:Enerdata「Global and CO2 Energy data」)

気候変動対策の目標達成のため、電化を加速すべき

世界レベルでは、2050年までに電気の需要は80~90%増加する。パリ協定の現在の削減目標(NDC)を達成するEnerBlueシナリオと、気温上昇を2℃未満に抑制するEnerGreenシナリオのいずれもが、こうした結果に達すると予想される。

また、エネルギー効率化に向けた取り組みよって、電気の割合はEnerBlueシナリオでは29%、EnerGreenシナリオでは36%となる。

米国、EU、ブラジルなど一部の国では、電化が大幅に加速する一方で、中国、インド、日本は既存のダイナミックなトレンドに追いつく必要がある。

 

(出典:Enerdata「Global and CO2 Energy data」)

次のようないくつかの要素において、電力の増加に影響を与える可能性がある。

  • 建物においては、中国、北米、ヨーロッパなど成熟した市場に対応したヒートポンプの開発、および特定の用途(家電、IT、デジタル化)における開発。
  • 産業部門においては、ロボット化、デジタル化、生産プロセスにおける電気の利用(電気アーク炉など)、低温用ヒートポンプの開発。
  • 輸送では、電気自動車の開発と公共交通機関の電化(今後30年で世界の自動車の50%が電気自動車になる可能性がある)

発電はより早く脱炭素化する必要がある

GHG排出削減目標に対する電化の可能性を最大限に活用するためには、電源構成を脱炭素化することが不可欠だ。2012年以降、電気の脱炭素にはある程度の進捗が見られたが、十分とはいえない。全体的な電源構成においては、化石燃料、特に石炭火力発電が依然として支配的である。

(出典:Enerdata「Global and CO2 Energy data」)

地球全体の気候変動対策の目標を達成するためには、発電の脱炭素化を強力に加速する必要がある。

(出典:Enerdata「Global and CO2 Energy data」)

電源構成を脱炭素化する主なオプションは、風力発電、太陽光発電、バイオマス発電、原子力発電、化石燃料の切り替え、および二酸化炭素回収貯留(CCS)である。

(出典:Enerdata「Global and CO2 Energy data」)

まとめ:覚えておくべきこと

  • 最終的なエネルギー消費における電力割合は過去数十年で増加しており、気温上昇1.5℃~2℃のシナリオでは、2040年に一部の地域では最大45%、全世界では35%に達する可能性がある。主な促進要因は以下の通り。
    •  建物に設置されたヒートポンプ(空調・給湯等)
    •  電気自動車と輸送におけるモーダルシフト
    •  産業部門における電気加熱プロセス
  • 発電は依然として世界規模で化石燃料が支配的だが、電気のCO2排出原単位は、気温上昇1.5℃~2℃のシナリオでは、2040年に約75%削減される可能性がある。
  • 電力価格と電気設備のコストの競争力がカギとなる。
  • 電化は世界のエネルギーシフトにおいて重要な役割を果たすが、それは決して唯一の柱ではない。他のベクトル(ガスなど)の脱炭素化やエネルギー効率の向上などの取り組みも重要である。

オリジナル記事について
Enerdata "Electrification and Decarbonisation"(2020/02/20)pdf)

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