英エネルギーデータ大手ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は11月30日、電気自動車(EV)などに搭載するリチウムイオン電池の価格が2022年に上昇する可能性があると発表した。2021年は1キロワット時あたり132ドルと前年比6%の下落にとどまっていたが、2022年は135ドルになると予想している。
リチウムイオン電池の価格は、2021年前半は下落トレンドを維持していた(図1)。2010年には1kWhあたり1,200ドルを超えていたが、その後下がり続け、2021年には132ドル/kWhと約9分の1になった。電池価格の下落は、リチウムイオン技術に依存しているEVのコストダウンなどに貢献してきた。
出所:BloombergNEF
しかし、2021年後半にはコバルトやニッケルの価格が高騰し、リチウムイオン電池価格が上昇した。自動車メーカーは、リチウムイオン二次電池の正極活物質として注目されているリン酸鉄リチウム(LFP)や高価なコバルトの使用量を減らした「高ニッケル」型の比率を増やして、資源価格上昇の影響を緩和した。
欧州連合(EU)の欧州委員会は今年7月に、温室効果ガスの大幅削減に向けた包括案の中でハイブリッド車を含むガソリン車など内燃機関車の新車販売について2035年に終了する方針を打ち出した。
こうした背景から、欧州の自動車メーカーは相次いで電池技術のロードマップを発表。仏ルノーは電池パックのコストを2025年に100ドル/kWh以下に下げ、2030年には全固体電池の導入準備を進めつつ同80ドル/kWh未満を狙う。
BNEFの金属・鉱業部門の責任者であるKwasi Ampofo氏は、2022年もリチウムの需要は伸び続けると予測した上で、「世界的なサプライチェーンの制約や中国の生産抑制などは2022年第1四半期までに解消され、リチウム価格は緩和されるだろう」と述べている。BNEFは長期的には2030年に現在の半分程度まで下がるとの見通しは維持した。
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