12月23日、経済産業省資源エネルギー庁は、グリーンイノベーション基金事業の予算総額2兆円のうち、二酸化炭素(CO2)分離・回収などの技術開発に上限382億3千万円を計上する方針を公表した。事業は、低圧・低濃度CO2排ガスにおけるCO2分離回収コストを低減させることによって、国内における利用拡大と海外市場展開を目指すというもの。
しかし、CO2を含む排ガスは、排出源で用いられる原料や燃料の種類、燃焼方式等によって、対応するCO2分離回収技術の困難性が異なる。そのため、今回計上された382億3千万円の総予算は3つの事業に振り分けられる。
①「天然ガス火力発電排ガスからの大規模CO2分離回収技術開発・実証」には86.6億円を振り分け、②「工場排ガス等からの中小規模 CO2分離回収技術開発・実証」には最も大きい272.2億円を振り分ける。方式は異なるが、どちらについても、最も低エネルギーかつ低コストで効率的なCO2分離回収の技術確立を目指していく。
特に、①に関しては数十万から数百万kW程度の大きな天然ガス火力発電からの排ガスを対象として、2030年までに2,000円台/t-CO2以下の分離回収コストの実現を目指していく。
加えて、回収したCO2を化学品や燃料製造に利用するなど、その活用法を実施者に求めることも視野に入れる。
②については、コージェネレーション(熱電併給)システムやボイラー、工業炉加熱処理炉、ナフサ分解炉等からの排ガスを対象に、効率的なCO2回収を実現できる素材開発に注力する。こちらも2030年までに2,000円台/t-CO2以下の分離回収コスト化を目指す。
最後に、23.5憶円は③「CO2分離素材の標準評価技術基盤の確立」に振り分ける。低濃度CO2分離回収技術の低コスト化の鍵を握るのは、分離素材の性能向上だが、素材メーカーが評価体制を整えるのは難しい側面がある。さらに評価基準そのものがメーカーによって異なる点も問題とされてきた。そのため、画一的な性能評価基準を設けることに予算を用いることとなる。
今後は、①・②に関しては2024年度までに、技術の性能向上やプロセス開発を完了させ、③についても2024年までに統一評価手法の確立を目指していく。
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