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2030年度の温室効果ガス削減目標は引き上げられるのか 「気候変動政策に関する有識者会議」始まる

2030年度の温室効果ガス削減目標は引き上げられるのか 「気候変動政策に関する有識者会議」始まる

2021年04月01日

菅首相は3月31日、2030年度の温室効果ガス(GHG)排出削減目標などを議論する第1回気候変動対策推進のための有識者会議を開催した。

菅首相は、会合で次のように述べた。

「集中豪雨、森林火災、また大雪など、近年世界各地で発生する異常気象は、気候変動が大きな原因と言われております。気候変動問題に取り組み、脱炭素化を進めることは、地球規模で待ったなしの課題だというふうに思っています。
世界的な流れに伴って、あらゆるビジネスの現場にグリーン化の波が押し寄せていると思っています。気候変動への対応は経済の制約という発想を転換すれば、我が国経済を長期にわたり力強く成長させる原動力になる。こうした思いの中で、私は、「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。とりわけ、本年は、米国におけるバイデン政権の発足、気候変動に積極的なイギリスのG7議長国就任など、世界的な気運はますます高まっています。
11月のCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)に向けて、気候変動に関する多くの国際会議が予定されているこの機会に、我が国として、世界の脱炭素化に積極的に貢献し、国際社会の議論をリードするために、政府一体となって検討を深めてまいります。
同時に、次なる大きな成長戦略を描いていく上でも、気候変動対策に取り組むことが極めて重要であり、グリーン社会の実現に向け、大きく歩む一歩になると思っています」。

脱炭素社会に向け見劣りする日本の2030年度削減目標

日本の現在の2030年度のGHG削減目標は、2013年度比26%削減だ。

しかし、イギリスの2030年目標は「68%以上削減(1990年比)」であり、EUは「55%以上削減(1990年比)」、カナダは「32〜40%削減(2005年比)」というように、各国が競い合うように野心的な削減目標を掲げており、国内外から日本の削減目標の引き上げを求める声が高まっている。

初回の会合では、気候変動対策をめぐる国際情勢を踏まえたうえで、委員から2030年度目標に関して、「2050年カーボンニュートラルという長期目標と整合した目標設定を」「野心的な中間目標を早期に設定することが重要」といった意見が出た。

菅首相は、4月上旬に日米首脳会談、4月22日のアメリカ主催の気候リーダーズサミットが控えており、有識者会議の議論を日本が打ち出す気候変動対策に反映させる意向である。

JCLP「50%以上の削減を目指すべき」

有識者会議の初会合に合わせて、RE100などの日本事務局を務める日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)は、「2030年度までに国内のGHG排出量を2013年比50%以上の削減」を求める意見書を発表した。

JCLPは次のように述べている。

「菅首相が2050 年カーボンニュートラル宣言をされたこで、企業、自治体、国民の意識や行動は大きく変化し始めました。2030年というより具体的な将来において明確なビジョンを掲げれば、さらに人、モノ、資金、政策資源が脱炭素化へと向かうことは間違いありません。

逆に、他国から遅れをとれば、過去風力発電設備の分野で起こったように、国内の脱炭素化に資する有望な産業が育たず、他国からそれらの技術や設備を購入せざるを得なくなります。また、企業はより確実に脱炭素化を実現できる立地を求めて他国へと拠点を移さざるを得なくなるという懸念も強まっています。仮にそうなれば国内の産業や雇用に大きな打撃となるため、何としてもそのような事態は避けることが必要です。

日本が今後、世界の脱炭素化をリードすることでグリーン成長を実現するためには、もう一段のギアチェンジが必要です。日本の競争力を維持し、そして何よりも気候危機を回避することで社会の安定を守るべく、気候変動に関する科学的知見に十分に耳を傾け、1.5℃目標に整合する中期目標を策定することが肝要です」。

2030年度目標の引き上げが避けられない中、焦点はその引き上げ水準となっている。菅首相はどこまで踏み込むのか、注目を集めている。

気候変動対策推進のための有識者会議

EnergyShift編集部
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