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Deep techでプラントのCO2削減、バイナリー地熱にも応用 日鉄エンジ、フィンランド企業と提携

Deep techでプラントのCO2削減、バイナリー地熱にも応用 日鉄エンジ、フィンランド企業と提携

2022年01月12日

2022年1月12日、日鉄エンジニアリングは、フィンランドのクリーンテック企業であるアルタム社とライセンス契約し、超音波照射(Deep tech)によるプラント設備のスマート洗浄サービス「ハイパーエコフル」を開始することを発表した。この洗浄技術により、設備によっては15%の効率改善も可能で、CO2排出削減に資する技術であるという。

プラント設備においては、一般的に配管や熱交換器におけるスケール(設備に付着する不純物)が問題となっている。このスケールを放置することで、プラント設備のエネルギー効率などが悪化するため、洗浄が必要となるが、これまでは化学洗浄などが行われ、そうした点からも環境への負荷をかけてきたといえる。

アルタム社の技術は、配管などに超音波照射を行う機器を取り付け、超音波パワーによる洗浄だけではなく、スケールの付着防止も可能となるというもの。IoTによるデータ収集、および超音波照射のデジタル技術による最適化も特長となっている。超音波洗浄では、眼鏡の洗浄がよく知られている。この原理を応用し、日鉄エンジニアリングとアルタム社の技術によって工業規模まで大型化したことが、今回のサービスの実現につながっている。

提供を開始するサービスは、スケールで汚れた設備を洗う「メンテナンス洗浄サービス」と設備の汚れを予防する「スマート保全サービス」の2つ。日鉄エンジニアリングとしては、後者の保全サービスをメインとして考えているという。


出所:日鉄エンジニアリング

さらに、汚れだけではなく、超音波照射を通じてプラント内の流体の粘度などの状態変化を促すことで、生産性を向上させる研究開発も進めているという。

また、対象となるプラント設備としては、これまで扱ってきたエネルギーや石油化学などに加え、食品や飲料、医薬品などのプラントにも適用できるとしている。また、エネルギー関連では、スケールが大きな問題となっている地熱発電への応用が期待されている。バイナリー発電の熱交換器に適用することで、発電効率の向上やプラントの長寿命化も期待できそうだ。なお、アルタム社ではすでにアイスランドの地熱発電で運用している。

日本国内での売り上げは当初は100億円を目標としており、その後、タイをはじめとする東南アジアへの展開も進める計画だという。

EnergyShift編集部
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