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世界の樹木の3分の1が絶滅の危機に 気候変動・異常気象の影響も

世界の樹木の3分の1が絶滅の危機に 気候変動・異常気象の影響も

2021年09月02日

9月1日、植物園自然保護国際機構(BGCI)が、世界の樹木に関するレポートを発表した。それによると、現在、世界の樹木の3分の1(30%)が絶滅の危機に瀕しているという。

現在、世界で存在を確認されている樹木は、約60,000種にも上る。それらを調査すると、樹木種の30%に当たる17,500種が絶滅の危機に瀕していることが判明した。この17,500種のうち、440種は自生する個体が50を下回るという。マラウイのムランジェ杉(英名:Mulanje cedar)や北ウェールズだけに見られる欧州ナナカマド(英名:Menai whitebeam 学名:Sorbus arvensis)がその例だ。

今回絶滅の危機に瀕していることが分かった樹木の数は、同じく絶滅の危機に瀕している哺乳類、鳥、両生類、爬虫類の合計数の2倍にも上るという。

多くの樹木が絶滅の危機に瀕している要因のトップ3は、作物生産、木材伐採、畜産だが、ここに新たな脅威として気候変動と異常気象が挙げられる。

世界の気温や天候の変化に伴い、多くの樹木が生息に適した地域を失う危険があり、特に中央アメリカの雲霧林の樹種が危険にさらされている。

レポートによると、少なくとも180種の樹木が海面上昇と悪天候によって直接脅威にさらされているという。

また、特に危機に瀕している割合が高いのは島嶼部の樹木種であり、多くの島には固有種が存在しているため、大きな問題となっている。

樹木は、自然の生態系を支える重要な存在であり、地球温暖化や気候変動と戦うために不可欠であると考えられている。また、樹木は他の何百万種もの鳥類、哺乳類、両生類、爬虫類、昆虫、微生物などの生息地や食料となっており、一つの樹木種が絶滅すると、ドミノ効果が起こり、他の多くの種が失われることになる。

こうしたことからも、樹木の保護は非常に重要であると考えられるが、レポートによると、保護活動を継続し、更なる行動を起こせば未来に希望が見出せるという。

さらに、BGCIは世界レベルでの樹木の保護活動を追跡するオンラインデータベース、「GlobalTree Portal」を立ち上げたと明かした。

発表の中で、BGCI事務局長のPaul Smith氏は、「樹木は世界中の人々にとって重要です。今回のレポートが提供する情報により、どの樹木種が助けを必要としているかを正確に特定できるため、専門家たちは絶滅を防ぐために必要なリソースと専門知識を展開できます」と述べている。

ヘッダー写真:Diorit, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

EnergyShift編集部
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