横浜ゴムは8月10日、タイヤ製造の脱石油を目指し、バイオマス由来の原料から自動車用タイヤの試作に成功したと発表した。バイオマスから生成した原料からのタイヤ製造技術を確立することで、石油依存度の低減によるCO2削減と持続可能な原料調達に取り組んでいく。
タイヤの主原料である合成ゴムは、ブタジエンと呼ばれる化学原料から製造されている。
このブタジエンは石油から生産されており、タイヤ製造の脱炭素化や持続可能な原料調達に向けては、石油由来ではなく、バイオマス(生物資源)から生成されたブタジエンの生産が求められている。
横浜ゴムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、産業技術総合研究所(産総研)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)との共同研究により、サトウキビやトウモロコシ、あるいは廃木材などから製造されたバイオエタノールからブタジエンを大量合成し、自動車タイヤの試作やプロセスの実証に取り組んできた。
2019年にブタジエンゴムの合成に成功し、2020年にはブタジエンの大量合成に向けた触媒システムを開発。今回はさらなる大量合成を目指し、バイオエタノールの処理量を約500倍にした大型触媒反応装置を製作するなど、改良を進め、約20kgのブタジエンの製造に成功した。
試作タイヤは、石油由来のゴムすべてをバイオエタノール由来のゴムに置き換えたうえで、従来製品と同等の性能を持つという。
横浜ゴムは今後、バイオマス由来のタイヤ製造の商業化に取り組むことで、CO2削減および持続可能な原料調達を目指す方針だ。
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