商用車分野の脱炭素を目指し、トヨタ、いすゞ、日野3社が提携 小型トラック中心にEV、FCVを開発 | EnergyShift

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商用車分野の脱炭素を目指し、トヨタ、いすゞ、日野3社が提携 小型トラック中心にEV、FCVを開発

商用車分野の脱炭素を目指し、トヨタ、いすゞ、日野3社が提携 小型トラック中心にEV、FCVを開発

EnergyShift編集部
2021/03/25

トヨタ自動車といすゞ自動車、そして日野自動車は2021年3月24日、カーボンニュートラル実現に向けて、小型トラック中心に電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)の共同開発や、自動運転などのCASE技術について提携すると発表した。商用車分野で国内8割のシェアを持つ日野といすゞ、そしてトヨタのトップが記者会見で何を語ったのか、お伝えする。

商用車分野の脱炭素を目指し、3社が協働

トヨタ自動車といすゞ自動車、そして日野自動車は、商用車分野での脱炭素を目指し、小型トラック領域を中心としたEV・FCVの開発や、自動運転技術などCASEの社会実装に向けて提携した。

トヨタといすゞは2018年8月に資本提携を解消していたが、再び資本提携を結び、それぞれ5.02%、総額428億円を出資する。さらに日野を含む3社で新会社「Commercial Japan Partnership Technologies(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」を設立する。

3月24日に開かれた記者会見では、トヨタの豊田章男社長、いすゞの片山正則社長、日野の下 義生社長が何を語ったのか。主な発言を紹介する。

豊田社長「カーボンニュートラルという課題が大きくのしかかってきた」

3社提携について、豊田章男社長は次のように語った。

「2020年10月、日本政府がカーボンニュートラルを表明した。日本の商用車は保有台数こそ乗用車含めた全体の2割だが、走行距離は4割にのぼる。商用車のCO2排出量は約7,700万トンとなり、自動車部門のCO2排出量の約半分を占める。自動車業界全体でカーボンニュートラルを実現するためには、この商用車の世界に誰かが入り込まない限り、解決しない。また物流業界は、厳しい労働環境など負のスパイラルが生じている。3社が中心となってつくる新会社が、カーボンニュートラルの達成や負のスパイラルを改善していく」。

2018年に資本提携を解消したトヨタといすゞが、再び資本提携を結ぶに至った背景について、豊田社長は、「カーボンニュートラルが大きな課題としてのしかかってきた現実から、いすゞとの連携がまた始まった」と述べた。

いすゞの片山正則社長は、「国をあげてのグリーン成長戦略の達成はエネルギー産業や製造業など、全産業のイノベーションが実現して、はじめて達成できるという壮大なチャレンジだ。ひとつの産業の変革の遅れが全体の調和を乱すという繊細な構造でもある。商用車メーカーとしてなんとしてでも、その責任を果たさなければならないと感じ、あらゆる機会を活用してイノベーションを起こすことを考え続けてきた」という。

3社提携について、「商用車をもっともよく理解する日野と、商用車にも活用できるかもしれない膨大な技術、強力な実行力を持つトヨタ、この3社で力を合わせればCASEの荒波を超えるイノベーションを起こし、利便性の高い小型トラック、そしてソリューションを提供できるのではないかと思い、提携に至った」と述べた。

日野の下 義生社長は、カーボンニュートラル達成に向け、次のように述べた。

「日本の輸送におけるCO2を低減することは、カーボンニュートラル達成に向けて不可欠である。ただし、トラックを電動化するだけでは対応は不十分だ。コストを抑えつつ、輸送に使い勝手の良い電動車を広く普及させることができなければ、CO2削減を達成できない。輸送効率の向上もCO2を削減するための非常に重要なファクターである。個社を超えたコネクティッドの連携により、輸送効率をあげることが可能となる」。

2035年に向けた商用車に関するグリーン成長戦略

日本政府は、乗用車について、2035年までのガソリン車販売禁止を表明済みだが、商用車に関しては、今夏にもグリーン成長戦略を発表する予定である。商用車をめぐる長期戦略について、豊田社長は次のように述べた。

「福島県浪江町には(再エネを利用した世界最大級の)水素製造施設(FH2R)がある。また福島県には3つの30万人都市があるが、この30万人という規模は日本で非常に多い都市サイズでもある。

FH2Rで製造されたグリーン水素を使って、いすゞと日野のFCトラックがものを運ぶという社会実装試験を行う。この実装試験を通して、規制改革はどうあるべきか、再エネの利用のあり方などについて、政府に提言していきたい」。

いすゞの片山社長は次のように語った。

「2035年の商用車目標は、乗用車並にするとも言われている。国際競争力を考えれば、日本だけハードルが低くなるということはありえない。

商用車のカーボンニュートラル化にはさまざまな技術が必要だ。しかし、どの技術が本命なのか、見極めるには5年はかかるだろう。そして、見極めた技術に基づき量産化するにはさらに4〜5年かかる。2035年目標を達成するには、今、始めないと間に合わない」。

日野の下社長は、「カーボンニュートラルに向けて、B to Bの世界である商用車に一番重要なのは、使い勝手の良い電動車を開発することだ。そしていかにコストダウンするか。3社連携によって、本当に使い勝手の良い商品づくりが可能になるのではないか。2035年に向けてのロードマップをユーザー、そして政府含めて構築していきたい」と述べた。

カーボンニュートラルが国内自動車産業の再編・統合を加速

大型トラックに関しては、いすゞはボルボと提携、日野はフォルクスワーゲン傘下のトレイトンと提携しており、両社は今も「もっともライバル」(片山社長)という関係である。しかし、カーボンニュートラルという課題がのしかかり、「トヨタが大きな接着剤となった」(片山社長)ことで、3社提携に至った。

国内自動車業界の再編・統合は、トヨタが中心となり今後も加速するだろう。

また会見では、実証試験ではなく、社会への実装試験を実施するというフレーズが何度も強調されていた。小型トラック領域でのEV・FCVがどのようなスピードで社会実装されていくのか、まずは注目したい。

いすゞ、日野、トヨタ、商用事業でCASE対応加速
いすゞ、日野、トヨタ共同記者会見