米アマゾン・ドット・コムは日本のデータセンター向けに新設のPPAによる再生可能エネルギーを調達の協議をおこなっているとの複数の報道がでた。
5月14日の日経によると大手商社が秋田県沖などの洋上風力発電をアマゾン用に電力供給するのではないかということだ。同日のSankeiBizによると東京電力など複数の電力事業者と検討を開始したと伝えている。
アマゾンのデータセンターによるクラウド事業「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」はマイクロソフトの「Microsoft Azure」、Googleの「Google Cloud Platform」とともに世界三大クラウドのひとつ。そのデータセンターは各国にある。アマゾンのデータセンターは詳細は公開されていないが、東京・大阪などに20前後あるという。
IoTの進捗に比例するように、データセンターの電力消費量は増加している。アメリカの研究によると2018年には世界で205TWhになったという。サーバひとつひとつのエネルギー効率やシステムのエネルギー消費量は下がっているにも関わらず、扱うデータ量が膨大になっている。
アマゾンやマイクロソフト、Googleはそれぞれ温室効果ガス削減を打ちだしている。アマゾンは2025年までに使用電力のすべてを再生可能エネルギーにする目標を立てている。
5月11日にはアマゾンはリリースを発表。北米とヨーロッパで風力と太陽光のエネルギープロジェクト9件を発表し、「世界最大の再生可能エネルギー調達企業」となったと述べた。全世界では206件の再エネプロジェクトが進んでいる。
71は風力および太陽光、135は自社施設や店舗の屋根上太陽光だという。電力生産量は8.5GWになる。
こうした波が日本にもやってきたということだ。2020年12月にはアマゾンの東京支社で「Renewable Energy Manager」の採用があった。そして今回の報道をみると、まずはデータセンターの再エネ供給から手を付けているということだ。
忘れてはならないのは、アマゾンは「CO2排出量」といっており、その範囲はデータセンターだけに限らない。データセンターやオフィスだけでなく、世界のアマゾンの倉庫、運送、すべてにおいて脱炭素をすすめるということだ。
アマゾンはフットプリントとしてスコープ3までの数値を公開している。スコープ3とは、直接排出(スコープ1)、間接排出(スコープ2)だけでなく、それ以外のすべて、つまりサプライチェーンや関連サービス、製品の加工からフランチャイズから事業にかかわるすべてを指す。
今回のデータセンターへの再エネ導入は、その第一波にすぎないと考えたほうがいいだろう。そして、この波はアマゾンだけでなく欧米のグローバル企業すべてに当てはまる。
アマゾンは「The Climate Pledge(気候変動対策に関する誓約)」という取り組みを進めている。これは、パリ協定の達成目標よりも10年早い、2040年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにするという誓約だ。参加企業はグローバル企業106社にも及ぶ(2021年5月)。
こうした波がいよいよ日本にもやってきたということだ。
(Text:小森岳史)
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