7月16日、国土交通省はグリーンイノベーション基金を用いた「次世代船舶の開発」プロジェクトを発表した。これは、日本の脱炭素実現に向けた水素・アンモニア・LNG等のガス燃料船(次世代船舶)の開発を加速させるもので、プロジェクト予算の上限額は350億円。
IEAにおける2020年の調査によれば、2018年時点における国際海運全体からのCO2排出量は約7億トンであり、世界全体の CO2排出量の約2.1%を占める。国際海事機関(IMO)では、2018年4月に温室効果ガス削減戦略が採択されており、2050年には2008年比で総排出量の50%以上削減が目標として掲げられている。特に日本は四方を海に囲まれており、貿易量の99.6%を海上輸送に依存していることから、海運セクターの二酸化炭素削減が求められている。
そこで国土交通省では、海運セクターの温室効果ガス削減シナリオと今後の作業計画を「国際海運のゼロエミッションに向けたロードマップ」として2020年3月に取りまとめた。同ロードマップでは、2028年までにゼロエミッション船舶の商業運航、2050年までに海上輸送のカーボンニュートラルの実現を目指すとしている。
今回の「次世代船舶の開発」プロジェクトを通じてゼロエミッション船舶の研究開発を支援し、海運セクターでの脱炭素を推し進め、世界市場をリードしたい考えだ。
ゼロエミッション船の開発にあたっては、既存船舶の燃料である重油から、水素・アンモニアやカーボンリサイクルメタンといったガス燃料への転換が求められている。しかし、長期的に見て、どの燃料がゼロエミッション船舶の主要燃料となるかは、現時点での見極めは困難だ。
そのため、それぞれの燃料に対してのコア技術であるエンジン、燃料タンク、燃料供給システムなどの開発と実証を行う。同時に舶用アンモニア燃料供給体制の構築にも着手する。
今回の予算の内訳は、水素燃料船の開発に上限210億円、アンモニア燃料船の開発に上限119億円、LNG 燃料船のメタンスリップ対策に上限21億とし、各燃料ごとのコア技術を探りたい考えだ。
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