10月5日、環境省では小泉進次郎前環境大臣から新たに就任した山口大臣への引き継ぎが行われ、山口壮環境大臣は初めての記者会見に臨んだ。小泉前大臣は菅内閣で表明された「2050年カーボンニュートラル」の政策や石炭火力発電に対する政策の見直しについて振り返り、新大臣への期待を寄せた。
山口大臣は菅内閣で表明された「2050年カーボンニュートラル」や2030年温室効果ガス46%削減という目標に向け、「行政にとっていちばん大事なことは継続であり、政府や与党でしっかり議論されてきたことなので、小泉前大臣の路線は継承したい」との姿勢を示した。脱炭素化の取り組み推進にあたっては「産業界の意見もしっかり聞きながら、イノベーションも念頭に置き、具体化していきたい」と述べた。
また、新たに経済産業大臣に就任した萩生田大臣は同5日の記者会見で、再生可能エネルギーの発電量の割合を2030年度に36~38%に引き上げる目標を盛り込んでいる「エネルギー基本計画」について言及。「10月末からはじまるCOP26に間に合うよう閣議決定を目指す。目標の2030年まで10年を切っており、早期に計画を実行できるように努力していきたい」と話した。
一方、原発について「安全最優先で原発再稼働を進めていきたい。使用済み核燃料を再処理し、回収したプルトニウムなどを有効利用する核燃料サイクルは政府の基本方針で、しっかりと進めていきたい」と述べるにとどめ、経団連から求められている原発の新増設は言及しなかった。
山口環境大臣は「エネルギーは原子力を長期的にはできるだけ低減させつつ、再生可能エネルギーの最大限の導入を踏まえながら考えていく。環境なくして経済なしで、両立させていくことが健全な資本主義の在り方だと思う」と述べた。
菅内閣で河野太郎前行政改革担当相と小泉氏が推進してきた脱原発と再生可能エネルギーの行方に注目が集まり、岸田内閣がどう舵を切り、環境省と経産省の両省が脱炭素政策に向けた協力を深めていけるかが問われている。
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