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大手電力会社の送配電事業者が「送配電網協議会」を設立、「電力需給調整力取引所」を運営へ

大手電力会社の送配電事業者が「送配電網協議会」を設立、「電力需給調整力取引所」を運営へ

EnergyShift編集部
2021年03月18日

大手電力会社の送配電事業者などは2021年3月17日、送配電網の中立性・透明性を確保するため、電気事業連合会から独立した組織として「送配電網協議会」を4月1日から発足させると発表した。全国大での電力融通などにより、需給調整を行うとともに、「電力需給調整力取引所」の運営を担う。

電気事業を取り巻く環境は、電力システム改革の進展などにより大きく変化している。2020年4月には、送配電事業の中立性を確保するため、大手電力会社の送配電部門の法的分離(沖縄電力を除く)が実施された。

こうした環境変化に対応するため、大手電力各社は、一般送配電事業者による運営組織「配電網協議会」の設立に向けて、2020年10月に電気事業連合会内に「送配電網協議会」を設置。系統・需給運用、設備計画、需給調整市場にかかる業務などの技術的事項を中心に、一般送配電事業者と連携した業務運営体制を整えていた。

さらに2021年4月1日より取引が開始される需給調整市場の開設に向けて、送配電網協議会内に「需給調整市場運営部」を設け、需給調整市場の受付窓口業務などの運営体制も整備してきた。

3月17日に送配電網協議会設立総会が開かれ、会長に関西電力送配電社長の土井義宏氏が、副会長に東北電力ネットワーク社長の坂本光弘氏が就任する役員体制が決まった。

協議会は安全を最優先としたうえで、エリアを跨いだ電力融通などによって需給調整を行うとともに、非常災害時には適切な対応を取り、停電などのリスク回避に努めていく。

「電力需給調整力取引所」も設立

さらに一般送配電10社は、「電力需給調整力取引所」を共同で設立することも発表した。

一般送配電事業者は、発電事業者および小売電気事業者が策定した計画と実績の差としてゲートクローズ後に残った誤差、FIT特例制度による再生可能エネルギー予測誤差、30分より短い時間内における需要と供給の変動等に調整力で対応することで、電力供給区域の周波数制御・需給バランス調整を行っている。

一般送配電事業者が必要とする調整力は、多くの電源などへの参加機会の公平性確保、 調達コストの透明性・適切性の確保の観点から、公募によって調達されてきた。

さらなる効率的な需給運用の実現を目指し、公募調達に加え、今年4月1日よりエリア(沖縄電力の供給区域を除く)を越えた広域的な調整力の調達を行う市場として「需給調整市場」が開設される。新たな市場の創設に伴い、市場運営者である10社は「電力需給調整力取引所」を設立したわけだ。

なお、発電事業者などの市場参加者からの申し込み受付および、情報公開などの受付窓口業務は、送配電網協議会が担っていく。

ウェブサイト:送配電網協議会
プレスリリース:「送配電網協議会」の設立について「電力需給調整力取引所」の設立について 2021.3.17

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