EV(電気自動車)世界大手のテスラは8月19日、天候によって発電量が変動する再生可能エネルギーの出力安定化に向け、北海道に大型蓄電池「Megapack(メガパック)」を供給すると発表した。2022年の稼働を予定しており、日本の電力市場に本格参入する。
北海道では太陽光発電や風力発電などの普及が進む一方、電力の需要よりも多く発電する可能性が指摘されている。発電量が需要を上回ると需給バランスが崩れ、停電を引き起こす可能性があるため、再エネ発電事業者に発電の停止を求める「出力抑制」の実施が懸念されている。
だが、太陽光発電などの再エネが需要を上回るほど発電した場合は蓄電池にため、逆に曇りや雨など天候によって発電しない場合は、蓄電池にためた再エネ電力を放電すれば、再エネを無駄なく使え、さらなる再エネの導入拡大にもつながる。
テスラは再エネの出力安定化に向け、新電力のグローバルエンジニアリングが北海道千歳市に建設する系統用蓄電池発電所「北海道・千歳バッテリーパワーパーク」に大型蓄電池を供給する。容量は6,095kWh。
テスラ製蓄電池は北海道電力の系統に接続され、グローバルエンジニアリングが再エネや節電によって生み出されたネガワット電力なども活用し、再エネの変動を蓄電池で吸収し、出力の安定化を図るという。さらに容量市場や需給調整市場などにも参加することで、収益化を見込む。グローバルエンジニアリングによると「蓄電池単独で系統に接続し、電力卸売市場や容量市場、需給調整市場などに対応する独立系の蓄電池発電所として日本初」だという。
経済産業省では8月、脱炭素に向け第6次エネルギー基本計画の原案をとりまとめ、2030年度の再エネ比率を従来の「22〜24%」から「36〜38%」に大幅に引き上げた。なかでも太陽光発電は1.8倍増となる100GWの導入目標を掲げており、達成には系統安定化用の蓄電池が必要になってくる。
テスラは日本初供給となった今回の北海道をきっかけに、日本においても大型蓄電池の導入拡大を進めたい考えだ。
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