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帝国データバンク、太陽光関連業者の倒産動向調査を公表 2020年度は79件、2年連続で減少も、大型倒産発生で負債額は倍増

帝国データバンク、太陽光関連業者の倒産動向調査を公表 2020年度は79件、2年連続で減少も、大型倒産発生で負債額は倍増

EnergyShift編集部
2021年04月14日

帝国データバンクは4月14日、2020年度の太陽光関連業者の倒産動向調査を発表した。倒産件数は79件と2年連続で減少したが、大型倒産の発生によって負債額は倍増しており、動向には十分な注意が必要だ。

2006年から2021年3月までの倒産件数は562件

調査対象は2006年4月から2021年3月までに発生した562件の太陽光関連業者の倒産(法的整理のみ、負債1,000万円以上)である。「倒産件数と負債総額の推移」、「倒産態様別」、「負債総額別」、「地域別」、「業歴別」、「資本金別」、「従業員別」、「業種別細分類」、「倒産主因」の9分野について、調査、分析している。

なお、太陽光関連業者とは、①太陽光発電システム販売や設置工事、太陽光パネル製造やコンサルティングなど関連事業を主業として手がけるもの、②本業は別にあり、従業として太陽光関連事業を手がけるもの、両方を含むとしている。

3月末には負債約153億円を抱えたJCサービスが倒産

太陽光関連業者の2020年度の倒産件数は、79件(前年度比 2.5%減)と2年連続で減少した。負債総額は約486億5,000万円(同105.1%増)に達した。半期ベースでは2020年度上期が41件(前期比8.9%減)、下期が38件(同7.3%減)と、2半期連続での減少となった。

「倒産態様別」を見ると、「破産」が71件(構成比89.9%)、「民事再生法」が5件(同6.3%)、「特別清算」が3件(同3.8%)となっている。

「負債総額別」に関しては、「1,000万〜5,000万円未満」が31件(構成比39.2%)で最も多く、次いで「1億〜5億円未満」の25件(同31.6%)。2021年1月以降、負債100 億円を超える倒産が株式会社JCサービス(東京都、3月24日民事再生法、負債約153億4,200万円)など2件発生したため、負債総額は前年比で倍増するという結果になった。

「地域別」の分析では、「関東」が32件(構成比40.5%)と突出した。次いで「近畿」の15件(同19.0%)、「九州」の9件(同11.4%)が続いた。

FIP移行により市場原理が導入されれば、「淘汰は一段と加速する」

太陽光関連業者の倒産件数は、暦年ベース(2020年1〜12月)では84件(前年比13.5%増)と2年ぶりの増加に転じていた。

今回の年度ベースの調査では79件と2年連続で減少したが、帝国データバンクでは「高水準の倒産が続いていることは間違いない。太陽光関連業者の倒産は2014年度以降、5年連続で増加し続け2018年度には96件のピークをつけたが、その後も80件前後で高止まりしているとみるべきだろう」と分析する。

2012 年に始まった固定価格買取制度(FIT)のもと、出力10kW以上の産業用で導入されていた全量買取制度は、2020年度より10〜50kWのボリューム・ゾーンへの適用が廃止され、自家消費率30%以上を義務付ける余剰電力買取制度へ移行し、小規模メガソーラーのビジネスモデルが成立しにくくなった。

また産業用の買取価格は年々引き下げられ、2020年度には13円/kWh、家庭用も21 円まで低下していた。その一方で、太陽光発電設備のコスト低減も進んでおり、10%前後の一定の投資利回りは確保されているものの、市場の縮小傾向は止まらない。

帝国データバンクは、「そうした中での大型倒産増加は要注意だ」と指摘する。

2022年春に予定されているFITに替わる新制度、FIP(発電事業者が自ら電力市場で電気を売り、市場価格にある程度連動した補助金を受け取る仕組み)で市場原理が導入されれば、「淘汰は一段と加速しかねない」と警鐘を鳴らす。

そのうえで、「脱炭素社会の掛け声が強まるなか、本来なら再生可能エネルギーの主役たるべき太陽光関連業者のこの現状はまことに心細い限りだが、自家消費型への転換やコーポレートPPA(発電事業者と、新電力や最終需要家の長期・固定価格の売買契約)の本格普及、さらなるコストダウンによる価格競争力の向上が市場再活性化の鍵となるだろう」と予測する。

帝国データバンクは、「関連業者もこれまでの成功体験に捉われることなく、大胆に、柔軟にビジネスモデルを変化させていく必要がある」と指摘する。

太陽光関連業者の倒産、2020年度は79件発生 2年連続で減少

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