新たなモデルの蓄電ビジネスがスタート 米国ニューヨーク州で11万kWhの蓄電設備を利活用 | EnergyShift

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新たなモデルの蓄電ビジネスがスタート 米国ニューヨーク州で11万kWhの蓄電設備を利活用

新たなモデルの蓄電ビジネスがスタート 米国ニューヨーク州で11万kWhの蓄電設備を利活用

日本では再生可能エネルギーの変動に対応するため、これから大型蓄電設備の整備が進められるという段階にある。しかし欧米ではすでに、蓄電設備の設置が進められている。

2022年1月25日には、Stem社がニューヨーク州で11万kWhを超える蓄電容量となるプロジェクトについて、NineDot Energy社と契約を締結したことを発表した。このプロジェクトはニューヨーク州の分散型エネルギー資源を運用するプログラムに参加することとなっている。

Stem社は独自の人工知能(AI)を活用したプラットフォームのAthenaによるエネルギー貯蔵システムのソリューションを提供しており、顧客は蓄電と系統の電力、自家消費再エネ電源などを自動的に切り替えることでエネルギーコストを削減するといったことなどを実現することができる。


出典:STEM社ウェブサイトより

一方、NineDot Energy社は、再エネが接続された電力網の運用をサポートしており、これによりCO2排出削減もなされるという。

今回のプロジェクトは、合計11万kWhを超える、6つの単独立地型のエネルギー貯蔵サイトで構成されるものとなる。2023年5月までに完成する予定で、この設備を所有するNineDot Energy社は、再エネによる電力の貯蔵を通じて、再エネクレジットを獲得し、これを売却することで収益化していくというしくみだ。

Stem社とNineDot Energy社は、2040年までに100%クリーンエネルギー使用という目標を達成するというニューヨーク州の目標達成を支援していくとしている。

また、ニューヨーク州も、エネルギー貯蔵の目標を2030年までに発電容量として600万kWに倍増していく計画を発表している。また、その実現にあたって、NineDot Energy社に約1億ドル(約115億円)の投資を約束している。

Stem社のCEOであるジョン・キャリントン氏は、「NineDot Energy社と協力して、ニューヨーク州でのプレゼンスを拡大し続け、州が2040年までにクリーンエネルギーで100%電力を供給されるという目標を達成できるよう支援します」とコメントしている。

NineDot Energy社のCEO兼共同創設者であるデビッド・アルフィン氏は、「Stem社の比類のないカスタマーサポート、一流のハードウェアサプライヤーへのアクセス、およびクラス最高のAthenaプラットフォームにより、エネルギー貯蔵ポートフォリオの管理をするために必要となる、使いやすいシステムが可能となっています。ニューヨークのグリッド全体に、よりクリーンで費用効果の高い電力を提供する次世代のエネルギー貯蔵を展開することを楽しみにしています」とコメントしている。

また、Stem社は2022年2月1日には、太陽光発電のアセット監視・制御プラットフォームであるPower Trackを提供しているAlsoEnergy社の買収完了を発表した。これにより、太陽光発電と蓄電システムに関するワンストップソリューションを提供できるようになるという。

 

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もとさん(本橋恵一)
もとさん(本橋恵一)

環境エネルギージャーナリスト エネルギー専門誌「エネルギーフォーラム」記者として、電力自由化、原子力、気候変動、再生可能エネルギー、エネルギー政策などを取材。 その後フリーランスとして活動した後、現在はEnergy Shift編集マネージャー。 著書に「電力・ガス業界の動向とカラクリがよーくわかる本」(秀和システム)など https://www.shuwasystem.co.jp/book/9784798064949.html

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