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日本は本当に脱炭素後進国なのか? 化石賞受賞の誤解を解く:COP26を振り返る

2021年11月15日

日本以外にもっと受賞するべき国がいるのではないか

まず、CO2排出量から見ていきたい。


出典)温室効果ガスインベントリオフィス/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより

こちらは2018年時点の数字だが、見ていただければ分かるとおり、1位中国、2位アメリカ、3位インド。この3ヶ国で世界の温室効果ガス排出の約半分を占めている。

国ごとの排出量を基準にすれば、これらの国々が受賞するべきだろうという意見はもっともだ。

実効的に気候変動対策を推進するためには、これらの国々がしっかり排出削減をしないといけない。

だが、こうした意見が出てくると、「いやいや、そもそも中国などは人口が多く、一人当たりで見るとそんなに出していないんだ」という反論が必ず出てくる。それでは一人当たりのCO2排出量を見てみよう。


出典)温室効果ガスインベントリオフィス/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより

これは主要国の比較の図だが、日本は一人当たり年間8.5トンのCO2を排出している格好だ。

他国はどうかというと確かに中国は一人当たりに換算し直すと低いのだが、アメリカは15.1トンと日本の約倍。脱炭素先進国の顔をしているドイツも8.4トンとほぼ日本と同等だ。一人当たりの排出量でいえば、ロシアや韓国は日本よりも多くのCO2を排出している。

総量でも一人当たりでもアメリカ、ロシアは日本より上の数字になっている。

では、削減目標が足りないのか。日本は2050年カーボンニュートラル宣言をしたが、これは欧州、米国などと同じ年限の目標である。目標年限にいたっては中国、ロシアは2060年目標、インドは2070年目標だ。

2050年目標を引き合いに出すと、直近の目標が弱いという声が出てくるのだが、2030年目標に関しては以前解説したとおり、日本政府はかなり無理をして、2030年で2013年度比46%減という数字を今年出したところである。2030年について、アメリカや欧州は50%を目安にしているが、そこまで大きな差があるとも思えない。

加えて、石炭火力について日本はかなり批判をされてきた経緯があるが、こちらについてはどうか。過去の石炭火力輸出支援の方針については筆者としても相当ネガティブだが、今年G7で完全にその目は封じられ、先般発表したエネルギー基本計画でも、もう政府支援は行わない旨の記載がされた。

渋々であったことは間違いがないのだが、とはいえ、「もうやりません」と観念したわけであり、今年のCOPでは、大きなマイナス材料にはならないだろう、と個人的にも思っていた。

そもそもCO2を最終的に出す側だけが批判されるのもおかしい話であり、原油生産国や石炭産出国などが批判されるべき、というのもまた、正論である。

このように見ると、多くの人々の「他に受賞する国があるのではないか!」という指摘は、至極もっともではないか。

だが、この点に関しては、そもそも報道の仕方にも由来する誤解が生じてしまっている。そこで次に化石賞にまつわる大いなる誤解について解説したい。

化石賞にまつわる大いなる誤解とは・・・次ページ

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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