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日本は本当に脱炭素後進国なのか? 化石賞受賞の誤解を解く:COP26を振り返る

2021年11月15日

化石賞にまつわる大いなる誤解とは

報道では11月2日、日本は化石賞を受賞したとあるが、実はここが味噌だ。化石賞というのはCOP開催中、毎日発表されている。

日本は2日目の受賞で、ノルウェーとオーストラリアと一緒に受賞をしたが、いま述べたとおり、化石賞は毎日発表されており、執筆時現在9日目までの発表が終わり、ぶっちぎりで受賞をしているのはオーストラリアの4回だ。ついでアメリカが2回、COPの開催国であるイギリスも2回受賞している。

この点をそもそも報道機関がきちんと報道しないため、日本があたかも世界で最下位の脱炭素後進国であるかのような印象を受けるのだが、それはまったく違う。このあたりに関して、少なくともオンライン配信できちんと報道したのはNHKくらいではないか。

例えばオーストラリアは石炭の産出国だ。彼らも今回のCOPに合わせて苦渋の決断ながら2050年カーボンニュートラルを宣言して乗り込んできたわけだが、4回受賞する形となった。

また、この賞がどこまで信ぴょう性があるかというところもポイントになる。そもそも「なぜ中国が選ばれないんだ」という指摘は多い。2060年カーボンニュートラルを宣言したとはいえ、目下 CO2排出の最大国であり、2030年目標も非常に弱い。「まずは切り込むとしたら中国だろう」ということになるのだが、このNGOは共産圏には拠点がないので、中国、ロシアには切り込まないという説もある。どこまで本当かは分からないが、中国に切り込んでいない時点で、あまりフェアとはいえないだろう。

また、日本が今年、化石賞を受賞した日に、逆にCANが「Ray of the Day」と取組みを賞賛した国がある。

それはインドだ。日本の倍もCO2を排出していて、かつ、立てた目標が2070年カーボンニュートラル。受賞の理由にこれが世界の気候変動対策の機運にポジティブな影響を与えたと書いてあるが、「これを良くやった!」と評価して、「日本を下げる」点に関しては、さすがにおかしいのではないかと個人的にも思ってしまう。

CANの主張から日本の化石賞受賞は本当に正しかったのか分析・・・次ページ

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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