発電時の廃熱は6割から7割がそのまま捨てられており、廃熱の利用法についてはさまざまな研究がおこなわれている。廃熱を使っての発電もそのうちのひとつで、高温廃熱による蒸気を使ってさらにタービンを回すコージェネレーションシステムなどがあげられる。
一方、室温近傍(室温から150℃程度)の廃熱は存在量が多いにも関わらず、規模が小さく、また希薄に存在しているため、近隣施設への熱供給などは行われているが、発電には熱電材料を用いた発電以外では有効利用が難しいといわれている。
この熱電材料とは、モノの温度差がそのまま電圧に変換される(ゼーベック効果)材料で、工場や車などの廃熱をそのまま電力に変換できる。この効果と材料は1960年代には知られ、長らく研究が進んでいたが、宇宙利用などでの特殊な利用以外は進んでいない。
課題としてはその発電効率であり、より広く使われるにはより高効率な材料組成が求められていた。
今回大阪府立大学が発表した材料は、従来は250℃から600℃で高性能な熱電効果を発揮するテルル化ゲルマニウムという熱電変換材料を、室温近傍で増大させることに成功。室温では既存材料の最大2倍の変換効率を実現した。
こうした熱電発電は、モノそのものが温度差のみで発電するため従来の発電機器よりもメンテナンスが少なくて済む。将来における室温廃熱を利用した環境発電などへの利用が期待される。
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