4月9日、大和証券グループ本社傘下の大和エナジー・インフラがエクセルギー・パワー・システムズに出資すると発表した。エクセルギー社は一般的な蓄電池の20〜200倍もの超高速で充放電を可能とする次世代ニッケル水素蓄電池であるエクセルギー電池を開発、提供する東京大学発のスタートアップだ。凸版印刷や関西電力、東京ガスなど大手企業が競うように出資するエクセルギー社とは。
持続可能な社会の実現に向け、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入がグローバルで進んでいる。
再エネの普及拡大は、日本の重要政策課題のひとつとなっている。しかし、さらなる普及を進め、再エネの主力電源化を果たすためには、風況や日射量変動に起因する再エネ発電量の急激な過不足をバランスさせ、電力需要と供給力を一致させる力(調整力)が必要となる。
再エネが増えれば増えるほど、この調整力のニーズは高まっていく。
2011年東大発スタートアップ企業として設立したエクセルギー・パワー・システムズは、東大の研究成果などに基づき、熱を素早く外部に逃すことができる独自の構造により、一般的な蓄電池の約20〜200倍もの超高速充放電が可能な次世代ニッケル水素蓄電池「エクセルギー電池」を開発。
この次世代蓄電池を活用して、再エネ比率の急激な高まりが、電力供給の不安定化をもたらし、社会課題となったアイルランドやイギリスにおいて、電力の需給調整サービスを提供している。
具体的には、次世代蓄電池をバックアップ電源として工場や商業施設に設置する。急な天候変化などにより、再エネの発電量が乱れた場合に、蓄電池から急速に充放電することで電力網の安定化を可能にするサービスだという。
エクセルギー社の特徴は高速充放電を可能とする次世代蓄電池開発とともに、単なる電池販売による売り切りビジネスではなく、調整力サービスを提供するビジネスモデルにある。
すでに再エネ導入が先行する欧州で実績を積み、その実績をもとに、今後、再エネ比率が高まる日本や他地域でのサービス展開を狙っている。
エクセルギー社のビジネスモデルは、日本の大手企業が注目し、競うように出資している。
出資企業は、2018年の凸版印刷に始まり、東京ガス、関西電力、三菱総合研究所、安川電機、芙蓉総合リースといった企業のほか、山梨県企業局や国際協力銀行、日本政策投資銀行、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルなどが資金を提供。
今回の大和エナジー・インフラの出資によって、出資企業数は18社を超えた。
いずれの出資者も、エクセルギーの持つ技術および展開する事業が、再エネの普及拡大、ひいてはグローバル規模での脱炭素化に貢献し、企業成長が見込めると踏まえ、資本提携を結んでいる。
エクセルギーの企業価値は今後も伸びることが予想され、出資企業数もさらに増加しそうだ。
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