住友商事は6月18日に開いた株主総会で、環境NGO「マーケット・フォース」が株主提案していた脱炭素への対応強化について否決した。21日、同社が提出した臨時報告書によると、賛成率は20%だった。しかし、先日のG7サミットで石炭火力に対する政府の新規輸出支援を年内で終了することに合意するなど、石炭火力に対する批判は国内外で高まっている。
オーストラリアの環境NGO「マーケット・フォース」は今年3月、2050年脱炭素を表明した住友商事に対し、脱炭素への取り組み強化を求める株主提案を提出していた。
株主提案では、地球の気温上昇を1.5℃以下に抑えることを目指すパリ協定に整合していないとし、次の3つが不十分だと指摘していた。
さらに、住友商事の方針には多くの抜け穴があると指摘。ベトナムのバンフォン1発電所やバングラデシュのマタバリ1発電所を含め、少なくとも4ヶ国において5つの石炭火力発電所の建設に関与し続けているとし、早期の撤退とともに、2050年ではなく2040年の脱炭素を求めていた。
6月18日に開かれた株主総会で、マーケット・フォースの株主提案は否決された。21日に住友商事が提出した臨時報告書によると賛成率は20%だった。
6月13日に閉幕したG7でも、石炭火力は温室効果ガス排出の唯一最大の原因と指摘し、排出削減対策が講じられない石炭火力は、政府による輸出支援などを年内で終了することで合意。世界各国が脱石炭に動くなか、企業も対応を迫られている。
すでに米ゼネラル・エレクトリックや独シーメンスは石炭火力の新規受注停止を表明している。日本でも、三井物産が2030年までにすべての石炭火力資産を売却すると表明。伊藤忠商事は2024年までに保有する3つの炭鉱すべてを売却する。双日は、2025年までに石炭関連資産を半減し、2030年までにすべてを処分する方針だ。
石炭火力は世界の気温上昇の最大の要因だとする認識が広まっており、企業も脱石炭に必死だ。
住友商事に対する株主提案は今回、否決されたが、競合他社は急速に脱炭素に舵を切っている。企業価値を毀損しかねないという株主批判は強まる一方だ。このまま石炭火力に関与し続けることは難しいだろう。
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