経済産業省は10月1日、次世代パワー半導体に518億円、データセンターの省エネ化に892億円の支援を行い、合わせて最大1,410億円を拠出する方針を決めた。脱炭素技術の研究開発などを支援する2兆円基金から充当する。第4回産業構造審議会(経産相の諮問機関)の会合で案を示し、了承された。10月中にも事業者の公募を始める予定だ。
次世代パワー半導体の世界市場規模は電動車や大規模データセンターの急増により拡大しており、現時点で約3兆円であるが、2030年には5兆円、2050年には10兆円市場になると言われている。電気機器の多くは従来のSi(シリコン)が使用されているが、次世代パワー半導体(SiC(シリコンカーバイド)、GaN(窒化ガリウム)、Ga2O3(酸化ガリウム)等)はSiよりも省エネ性能に優れており、今後市場規模が拡大することが予想されている。
政府はこうした背景から2021年から2030年の予算を、次世代パワー半導体には、サーバ電源や産業機器、電動車、再生可能エネルギーなどの電力向けデバイス製造技術の開発に332億円、シリコンに代わって次世代を担う材料として注目されている「SiC」に用いるウェハ技術の開発に186億円、合計518億円を配分する。
また、データセンターについては、今後も急増し、データセンターの電力消費量の増加が見込まれているが、これまでの技術進化では電力消費量の増加に追いつかないと予想されている。
そのため、電力消費量の削減に向け、最大892億円を投じて、半導体チップ内の配線部分に光通信技術を導入し、消費電力の90%削減などを実現する光電融合技術の開発などを進める。2030年までに最先端のデータセンターと比較して40%以上の省エネ化を実現することを目標としている。
2030年までの経済波及効果は、次世代半導体では市場規模0.55兆円、データセンターでは14兆円をそれぞれ見込んでいる。
政府は初期の段階で世界シェアを拡大することが重要として、2020年代中盤以降の需要拡大に向けてパワー半導体向け素材の高性能化に向けた技術開発及びコスト削減を推進する。
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