日本ではあまり紹介されない海外のエネルギー業界最新ニュース。EnergyShift編集部が厳選してお送りする。
独sonnen、住宅用太陽光・蓄電システムによるVPP向けソフトウェアを開発
ドイツのバッテリー企業sonnenは、太陽光発電および蓄電設備をもつ家庭から成るVPPのコスト効率を最大90%高められるというソフトウェアsonnenVPPを開発した。
同社によれば、sonnenVPPはわずかな追加費用だけで、インターネットを通じて住宅用バッテリーや電化製品をVPPに接続することができる。
「この仕組みはVPPによって供給される電力を、永続的に安定した、より著しく経済的な方法で届けられる」と同社は述べた。
インターネットで大規模障害が生じても、個々の家庭用蓄電システムはVPPの一部として独立して機能し続けることができるという。
sonnenは特許を取得しており、他のプロバイダーもライセンスのもと、このソフトウェアを使用できるようにしたい考えだ。イギリスの公共事業者Centricaとの合同プロジェクトがすでに立ち上がっている。
Software for virtual power plants powered by residential solar-plus-storage(pv magazine 2020/04/09)
イギリス2020年第1四半期で再エネが初の主力電源に
欧州のエネルギー調査会社EnAppSysの新たな分析によると、2020年の第1四半期、初めて再生可能エネルギーがイギリスの主力電源となった。
この期間、総発電量の44.6%を再生可能エネルギーが占め、残りはガス火力発電29.1%、原子力15.3%、電力輸入7.3%、石炭火力が3.7%と続いた。
一年前である2019年第1四半期では再エネの発電量は27.2TWhだったが、2020年1月から3月の期間では35.4TWhとなった。
これには一貫して強風が大役を果たしたと考えられる。例えば暴風雨「キアラ」は風力発電の新記録を二つ打ち立てた。2020年2月8日、午前2時にイギリス全体の56%の電力を風力発電が生み出したと同時に、風力による発電がその日すべての電力の44.26%を占めた。
EGEB: Green energy became the UK’s main power source for first time in Q1 2020(electrek 2020/04/13)
欧州、2050年までに太陽光発電シェア60%達成か
業界団体SolarPower Europeとフィンランドのラッペーンランタ大学による報告書は、2050年までに、気候中立に向けて欧州のエネルギーシステムが完全に再エネ化するシナリオをモデル化した。
2040年頃に100%再エネ化する「リーダーシップ」シナリオ、2050年に目標を達成する「適度な」シナリオ、2050年までの再エネ化が62%にとどまると推測した「出遅れ」シナリオの3つのうち、「出遅れ」シナリオが欧州社会および経済にとって、最もハイコストとなることが結論付けられている。
「リーダーシップ」と「適度な」シナリオでは、2050年までに欧州における太陽光発電のシェアが60%に成長し、2030年から太陽光発電が電力システムの柱となっている。とはいえ、風力発電は2つのシナリオにおいて大きく貢献し、2030年までは主要な再エネ電源であり続ける。
SolarPower Europeの政務局長Aurélie Beauvais氏は、「第一歩として、摂氏1.5度のパリ協定を達成するために、2030年に向けて、EUは法的に気候中立性の目標を定め、温室効果ガスの削減目標を見直すべきである」と述べた。
Europe can be 60% powered by solar before 2050(pv magazine 2020/04/16)
中国で水産養殖場を兼ねた120MWの太陽光発電所が誕生
中国浙江省慈渓市近くの漁場に120MWの太陽光発電所が完成した。中国のデベロッパーHangzhou Fenglingが所有する、320MWプロジェクトの第二フェーズだ。
同社は太陽光発電と水産養殖経営を組み合わせている。第二フェーズでインバータを提供した中国のメーカーKstar Science and TechnologyのマーケティングマネージャーTammy Tang氏は、「太陽光パネルは水槽の上に設置されていて、パネルの下は魚の養殖に利用することができる」と語った。
パネルがあることで水面からの蒸発が減少し、水資源を保護できるだけでなく、魚にとってより良い孵化環境を作り出し、漁獲量が増加するという。Tang氏によると、太陽光発電による年間収入はおよそ4,500万ドル、漁業による収入が年間で500万ドル近く見込めるそうだ。
Another 120 MW of solar aquaculture in China(pv magazine 2020/04/17)
潮力発電「Morlaisプロジェクト」に技術デベロッパー3社が参加
北ウェールズ潮流発電プロジェクト「Morlais」は、フランスのSabella、HydroQuest、そしてスペインのMagallanesの3社が新たにプロジェクト合意書に署名し、波に乗っている。
契約は3社による数ヶ月間の議論を経て結ばれた。それぞれがウェールズ北部アングルシー沖のクラウン・エステート指定区域に、商業規模の発電設備を配置することを目指す。
Morlaisプロジェクトは社会的企業Menter Môn(英)が運営しており、世界最大の潮流発電所のひとつになるポテンシャルを持つ。
プロジェクト第一段階では、指定区域開発への同意を確保することを目指し、第二段階では、新たに加わった3社を含むデベロッパー各社が設備を実装できるよう、必要なインフラを整備していく。
Morlaisプロジェクトはウェールズ政府を通じて、ヨーロッパ地域開発基金から一部資金提供を受けている。このプロジェクトは長期的には最大240MWの発電が見込まれており、これは一般家庭およそ18万件分に匹敵する。