2021年10月7日、石油メジャーの1つであるbpは、米国を拠点とするテクノロジー企業のBlueprint Power(Blueprint)を買収した。日本ではENEOSによるジャパン・リニューアブル・エナジーの買収が話題だが、世界でも石油会社による再エネ企業の買収が進む。
Blueprintは、商業ビルなどの建物に対し、再エネを生成・貯蔵・取引し、電力系統に柔軟性をもたらす、いわゆるVPPとして運用する技術を持つスタートアップ。建物の所有者に新しい収入源をもたらすと同時に、都市部の脱炭素化を進めることにもなる。一方、bpは2022年には再エネの電源の持分を3倍にすることを目指しており、今回の買収はその一環だ。
Blueprintは2012年にハリケーン・サンディが米国ニューヨーク市に上陸し、停電など大規模な被害をもたらしたことがきっかけとしてできたエネルギー規制に対応して、2018年に設立された。独特のアルゴリズムを用いて、建物のエネルギー効率を最適化し、デマンドレスポンス(DR)による節電や、蓄電池に蓄えられた電気、太陽光パネルの電気などを電力市場に供給する。こうしたしくみを通じて、建物の所有者は収入を得ることができる。
現在、ニューヨーク州で不動産事業者5者と協力し、床面積で1億平方フィート(約930万m2)を超える不動産を所有し、13MWの再エネを発電している。bpとBlueprintは2022年末までにこれを36MWに増やす予定。
また、Blueprintはこの他、bpのアクセラレーターであるbp Launchpadの下で、主要な米国電力市場における各事業の成長をサポートする。例えば、都市におけるソリューションと海運事業などと連携し、再エネコストの削減や都市の脱炭素化を進めていくということになる。
不動産分野におけるCO2排出量は、世界の年間温室効果ガス排出量のおよそ28%におよぶと推定されている。こうした背景から、Blueprintの創設者でCEOでもあるRobyn Beavers氏は「(建物は)脱炭素化する大きな未開拓の可能性を秘めています。成長し、真の変化に影響を与えるときがきました。bp Launchpadの企業として、建物がエネルギーシフトに前向きな貢献をすることを支援する機会を得るでしょう」と述べている。
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