自民党環境・温暖化対策調査会は12月14日、党本部で岸田政権の発足後初の会合を開いた。政府が掲げる「脱炭素」目標の実現に向けて具体策の検討を始め、井上信治会長は「来年5〜6月ぐらいには提言をまとめて、骨太の方針や参院選の公約に反映できるようにしたい」と語った。
「2050年カーボンニュートラル」に伴い、日本の持続可能な経済成長、新たな雇用創出につなげていくことが目指されている。脱炭素化によって産業構造の転換が進めば自動車業界などで雇用が流動化する可能性がある。その対策となる予算や税の提言を来夏の参院選公約に反映させる。
今年10月には、国のエネルギー政策の中長期的な指針である「第6次エネルギー基本計画」が閣議決定された。長期エネルギー需給見通しについても見直しが図られ、2030年度の電源構成における再エネ比率は、従来目標の1.5倍強に当たる「36~38%」に引き上げられた。こうした流れを受けて、労働市場にも明らかな変化が表れてきている。
経済産業省によると電気自動車(EV)はガソリン車よりも部品が4割少ない。そのため、部品の減少は雇用に打撃を与える。また、税制も論点となっている。炭素税は製品やサービスに伴う排出量に応じて企業に課税するため、排出量が多い業界で負担は増える。与党は12月に決定した与党税制改正大綱で炭素税を検討課題として盛り込んだ。
IRENA(国際再生可能エネルギー機関)が発表した最新レポート「Renewable energy and jobs: Annual review 2021」によれば、2019年に世界全体で1,150万人であった再生可能エネルギー部門の雇用が2020年に1,200万人に達したことを示している。
欧州では風力や太陽光といったクリーンなエネルギー源に対する税制優遇や、スマートメーターの補助といったクリーンエネルギーの普及を促すための支出の増加は、相対的に高い雇用創出効果を有しているという。
再エネの普及は、新たな産業としての経済効果である雇用創出において期待がされている一方、脱炭素で打撃を受ける企業にも配慮が必要とされている。日本政府に難しいかじ取りが迫られる。
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