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ドイツ新政権、メルケル後の気候変動対策はどうなる?

ドイツ新政権、メルケル後の気候変動対策はどうなる?

2021年12月03日

ドイツで新政権がスタートする。ドイツで今年9月末に行われた総選挙は気候変動が主な争点となった。ロイター通信によると、新政権は2021年度補正予算の残額500億ユーロ(約6.5兆円)を気候変動対策の基金に充当するという。メルケル政権が調達した資金の残額を当てれば、気候変動対策を目的とする起債を当面は回避することができる。

この基金からは、電気自動車(EV)の充電ポイントの施設をはじめ、公共住宅の省エネ化の推進など、広範な気候変動対策に資金が充てられる模様である。

現段階で「遅くとも2045年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」、「2030年までに石炭火力の廃止」、「2030年までにEVを1,500万台普及」など、ドイツ経済の構造転換宣言ともとれる野心的な数字目標があげられている。一方、ガソリン車の販売禁止は見送った。

目標1,500万台のEVは、ハイブリッド車は含まない「完全なEV」と明記している。メルケル政権のプラグインハイブリッド車(PHV)を入れて700万~1,000万台との目標から大きく引き上げた形だ。ガソリン車の禁止は独BMWや自動車部品メーカーが反対している。

新政権は反発を招く「禁止」という手段は使わず高い目標値を掲げることで、インフラ整備や補助金支給を通じて実質的にEVシフトを加速する狙いだとみられる。

石炭火力発電の廃止は、従来の2038年までから8年前倒しになった。電力業界や産業界にとって厳しい内容であるが、「理想的には、石炭火力・褐炭火力発電所の全廃を2038年から8年間早めるべきだ」という一文を文書に盛り込むことで産業界にも配慮した。

いずれも相応にコストのかかる取り組みだが、合意書には、EVの販売促進や充電インフラ整備、再生エネの拡大の財源について明確に示されていない。コストをめぐる議論は今後も続きそうだ。

新政権では経済・エネルギー省が幅広い気候政策を扱う通称「スーパー気候変動対策省」に格上げされ、気候変動対策を加速させる。ドイツが再生可能エネルギーやEVなどの分野で世界をリードしていく狙いだ。

 

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