12月17日、東京工業大学の亀田恵佑大学院生と伊原学教授らは、再生可能エネルギー(再エネ)を大量導入するための次世代技術となる「カーボン空気二次電池システム」を開発した。この発明は、二酸化炭素(CO2)の電気分解を利用して蓄電、さらにその際に発生した炭素(C)と空気中の酸素(O2)を使って発電するシステムを組み合わせた大容量蓄電システム。同システムでの充放電を実証したのは世界初となる。
これまで、再エネ導入の前に立ちふさがる壁として、電力需給バランスの問題があった。太陽光発電や風力発電は、天候に左右されるため発電量が安定しにくく、過剰発電や発電量不足の問題が付いて回った。そして、その問題の解決には蓄電技術の進歩が欠かせず、特に充放電の際にロスを生じさせない効率性が重要だった。
東工大によると、カーボン空気二次電池システムの理論放電効率は100%であり、これまで注目されてきた、水素ガスを用いる既存システムよりも高い理論体積エネルギー密度を有するという。
実験では、クーロン効率84%(充電に要した電気量(電流×時間)に対する、放電できた電気量の割合)を記録。さらに充放電効率(充電に要した電力量に対する、放電で取り出すことができた電力量の割合)38%を達成し、10回に及ぶ充放電サイクルの中で、電極の劣化も見られなかった。
今後は、実用化に向けて、充放電効率を大幅に引き上げ、理論放電効率である100%に近づけていくことを目指す。炭素の効率的な利用が可能で、かつ炭素析出下でも過電圧が低い電極の開発など、システムの改良に力を注でいくとのことで、5~10年以内の実現を目指すとも報じられた。
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