オフィスビルや物流施設を保有する清水建設は、脱炭素に向け、2030年度までに自社が保有する賃貸施設で使う電力を100%再生可能エネルギーに切り替える。8月1日から新たに2つの賃貸オフィスと物流施設の再エネ化を開始したほか、オフサイトPPAも活用することで100%再エネ化を達成する計画だ。
清水建設は、自社の持分割合が50%以上で、かつ自社で電力需給契約を締結する賃貸オフィス、物流施設を対象に、2030年度までに100%再エネ化する目標を掲げている。
8月1日からは、グループ子会社であるスマートエコエナジーが再エネから発電された電力であることを証明するグリーン電力証書などを購入し、東京、横浜にある2つの賃貸オフィス、ならびに埼玉の物流施設の再エネ100%を達成した。3つの施設の年間電力消費量は約14GWhで、再エネ化により年間約5,700トンのCO2排出量の削減を見込む。
清水建設は、再エネ転換に伴う電気料金の増加分はテナント企業に転嫁せず、自社で負担する。これにより、入居するテナント企業は電気料金が値上がりすることなく再エネ化を図れるため、脱炭素に取り組む企業ニーズを汲み取ることができ、空室率の低減にもつながる。
また再エネ電力の導入拡大を目指し、自社保有の賃貸物件の屋上を活用した自家消費型太陽光発電や、遠隔敷地から再エネ電力の供給を受けるオフサイトコーポレートPPA(電力購入契約)の活用も加速させる。
屋根置き太陽光発電だけでは必要な電力量がまかなえないといった課題があるなか、再エネの大量導入が可能なオフサイトPPAに対する期待は高まりつつある。しかし、オフサイトPPAに関しても、再エネ賦課金の対象外とするのか、詳細制度が検討中の段階で、普及には至っていない。
こうしたなか、清水建設はクリーンエナジーコネクト社などと協力し、オフサイトコーポレートPPAを拡大させる方針だ。関東エリアを中心に小規模な太陽光発電所を設置し、それらが発電する電力をベンチャー企業がアグリゲートし、生のグリーン電力として環境価値とともに、清水建設所有のオフィスビルに供給するというもの。
このオフサイトPPAは環境省の補助金事業にも採択されている。
清水建設では、オフサイトコーポレートPPAも駆使しながら、2030年度再エネ100%化を達成する方針だ。
ニュースの最新記事