「脱炭素×株式投資」をテーマにした人気企画。脱炭素ブームに乗り、事業の成長、株価の躍進を望める会社はどこなのか。マーケットアナリストの藤本誠之氏に、脱炭素投資ビギナーのマネーライターが聞いた連載も4回目となった。今回はコロナ渦でも業績好調の「空調」をキーワードに、注目の関連銘柄をレポートする。次週は最終回だ。
新型コロナウイルスの流行で換気のできる空調機器が注目されている。また、脱炭素の流れから家庭でも企業でも消費電力が少ない空調機器が求められている。
国際エネルギー機関(IEA)のレポートでも「エアコンの電力需要の増加は、今日のエネルギー論争において最も重要な盲点の1つ」とし、「今後発展途上国での所得と生活水準の向上に伴い、空調機器の需要は高まり続ける。その排出量を減らすためには、効率的な空調機器の導入が不可欠」と述べている。※引用元は最下部
「高性能かつ省エネの技術に優れた空調機器メーカーといえば【ダイキン工業】(東証1部:6367)でしょう。国内は業務用で断トツの実績。海外は約150ヶ国で事業展開し、空調事業の世界シェアトップです。国内より海外のほうが売上高比率77%と高い。近年は好業績が続き、株価も上昇しています」
ダイキン工業(東証1部:6367)
2021年9月9日時点株価28,980円(最低購入価格2,898,000円)
ダイキン工業は新型コロナウイルスの流行、脱炭素化への潮流といった世界情勢の中、追い風に乗っている。環境に配慮しつつ空調をソリューション事業として展開し、日本だけでなく世界的に拡大していく戦略で着実に売り上げを伸ばしているのだ。
出所 ダイキン工業空調事業の地域別売上高目標 「FUSION25」より
本命のダイキン工業を軸に、少し角度を変えたアプローチが投資先として面白い。藤本氏が推奨するのは【東テク】(東証1部:9960)。同社はビルや施設の空調・電気設備の導入をコア事業としている。
「エアコンなどの空調機器は、ビルなどに据え付け工事が必要です。東テクはその工事を担う会社。ダイキン工業の国内最大の代理店でもあるため、ダイキンの業績好調は同社にとって大きなプラスです」
東テク(東証1部:9960)
2021年9月9日時点株価2,796円(最低購入価格279,600円)
空調機器の市場は国内に留まらない。ダイキン工業がクローバル展開するように、世界規模のマーケットが広がっている。そこで【大成温調】(ジャスダック:1904)も抑えるべきという。同社も東テク同様、ビルや施設、工場などの空調・電気設備の工事をメインに行っている。
「大成温調はアメリカ(ハワイ)、中国、ベトナム、シンガポールなど海外展開を強化しています。空調工事の世界的な需要増大の恩恵を享受できるわけです」
エネルギー消費と相関性のある空調関連ビジネスはまさに脱炭素。関連銘柄をチェックして、チャンスをつかんでほしい。
(取材・文 百瀬康司)
※国際エネルギー機関(IEA) 2018年5月15日プレスリリース「Air conditioning use emerges as one of the key drivers of global electricity-demand growth」より
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