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テスラ決算発表 AI、パワーウォール、そしてビットコインの行方は

テスラ決算発表 AI、パワーウォール、そしてビットコインの行方は

EnergyShift編集部
2021/04/28

テスラは4月26日(現地時間)、2021年の第1四半期の決算を発表した。決算報告と、その後に行われたQ&Aから、テスラの今後を探る。

過去最高益でも株価は下落

テスラは4月26日(現地時間)、2021年の第1四半期の決算を発表した。まずはそのサマリーをみてみよう。

売上高は103億8,900万ドル(約1兆1,240億円)。前年同期は59億8,500万ドルだったので、73.6%増。純利益は4億3,800万ドル。前年同期は1,600万ドルだったので、大幅増だ。

EV販売が好調で、同期の納車台数は18万4,800台。前年比2.1倍。しかもこのうち、モデル3とモデルYが18万2,780台。モデルXとモデルSは2,020台。つまり、ほぼすべてモデル3とモデルYになる。

エネルギーストレージはPowerwallの人気で前年同期比71%増。需要が生産量を上回っており、太陽光発電(ソーラールーフ)のユーザーのみに供給することになった。テキサスの吹雪、電力ひっ迫により、家庭用のエネルギーストレージを求める傾向が強くなっているという。ソーラールーフの導入量は前年同期比で9倍、過去2年半で最も好調だったという。

しかし、過去最高の利益、しかもこれだけの大幅増に至っても、市場は満足しなかったようだ。テスラ株は決算発表後の時間外取引で一時3.1%下落。ライバルである大手自動車メーカーのEV攻勢に加え、決算発表会で生産台数を明確に示さなかったことも響いているという(納車台数は複数年にわたり前年比50%、とだけ述べた)。

決算発表時にはQ&Aが行われ、サイトでも回答が公開された。そちらに非常に興味深いものがあったので、いくつか紹介しよう。

Teslaの自動運転とAI、Dojoはコンピューティングを進化させるか

テスラは、Dojo(道場)という名のスーパーコンピュータを開発している。その進捗について、イーロン・マスクは「長期的には、テスラは自動車会社やエネルギー会社であると同時に、AIロボットの会社であると考えられるようになると思います。私たちは、世界で最も強力なハードウェアとソフトウェアのAIチームを開発していると思います」と回答した。

Dojoの変遷をたどると、それは自動運転のための開発からはじまっている。テスラの求める自動運転のためのスーパーコンピュータ、またはソフトウェアが世になかったので、自分たちでつくりはじめたのだ。ゼロからチームを立ち上げ、開発を続けていた。

「私たちの脳はニューラルネットコンピュータです。道路システムはニューラルネットコンピュータによる視覚のために設計されています。つまり、非常に優れた目を持つシステムがあれば、ヒトをしのぐ、極めて高い安全性が達成できることは明らかです。それを私たちはおこなっているのです」。

「道場はそのトレーニングのために使われています。来年には200万台の車(のデータ)が使用され、膨大な量のトレーニングがおこなわれます。サラウンドな8台のカメラを同時に使い、1秒間に36レンジの映像をラベリングしています。このラベリングツールも開発しました。その効率的な学習のために、AIベースのコンピューティングが必要なのです」。

イーロン・マスクはヒューリスティック・ベースの(人が携わる)コンピューティングはまだ非常に重要だが、ニューラルネット(AI)がコンピューティングに占める割合はどんどん大きくなるだろうとこのQAを締めくくっている。

決算発表の中では「レーダーは最後の松葉杖であり、それを取り除くことができた。しかし、例えば、トラックがトラックを運んでいる(牽引している)ときや、車がカヤックを積んでいるときなど、世の中には奇妙なことがたくさんあります。これは非常に難しいことですが、必ず実現できると確信しています」とも言及。テスラの自動運転とAIの難しさと挑戦について明らかにしている。


テスラのカメラは「目」となるか

ソーラールーフとパワーウォールは分散型、次世代送電網に貢献できる

ソーラールーフの見通しについて聞かれたイーロン・マスクは、個々の屋根への取り付けの難しさに触れたあと、「ソーラールーフで最も重要なのは、私たちが基本的に製品、あるいは構成は1つだけという方向に変えているということだと思います。すべての住宅において、私たちはパワーウォールなしのソーラールーフを販売しません」と述べ、パワーウォールとソーラールーフ(レトロフィット、もしくはグラスルーフ)のパッケージ販売に絞っていることを強調した。

パワーウォールを使った家は、自分の家の電力を安定的に確保できるだけではなく、送電網全体の安定性にも寄与することも強調。

「たとえばテキサスで起きたように電力需要がピークに達し、送電網が電力をバッファリングする能力がたりずに停電に陥ったとします。しかし、多くのパワーウォールを設置した家があれば、実際に電力をバッファリングすることができます。つまり、パワーウォールは巨大な分散型電力として機能するのです。これはすごいことです」。

EVが当たり前になる世界では、さらに電力需要が増える。

「実際、完全な再生可能エネルギーに移行した場合、ざっくりとした数字ですが、輸送手段がすべて電気になれば、大体2倍の電気が必要になり、暖房がすべて電気になれば3倍の電気が必要になるのです。つまり、テスラにとっても電力会社にとっても、基本的には豊かな未来なのです」。

「これは地域レベルと電力会社レベルの両方でおこなわれる必要があります。地域レベルで実現しなければ、発電所の送電線を大幅に増やさなければいけません。長距離用と地域用の送電線をあちこちに設置しなければならないのです。変電所も大きくしなければならず、悪夢です」。

これらの(完全な再エネへの)変革は、必ず起こることであり、太陽光発電とバッテリーの組み合わせが必要で、それが唯一の解決策であると述べた。


Powerwall

ビットコインは現金を素早くとり出すことのできる満足できるツール

テスラの1−3月期決算には、保有ビットコインの約10%の売却益、1億100万ドル(約109億円)が計上されている。すでに報道されているように、15億ドルをビットコインに投資し、ポジションを10%切り下げることで得たものだ。

イーロン・マスクが「テクノキング」なら、同社のCFO(最高財務責任者)、ザック・カークホーン氏は、「マスター・オブ・コイン」だそうだ。ザック氏はQ&Aで以下のように述べている。

「イーロンと私は、すぐに使わない現金を保管する場所を探していました。ある程度のリターンを得ながら、流動性も確保したいと考えていました。特に、テキサスとベルリン(2つのギガファクトリー)のローンチを控えていることや、半導体などに不安があることを考えると、現金にすぐにアクセスできることは、今の私たちにとって非常に重要です。他の人に聞いても良い話しは返ってきませんでした。

ビットコインを選んだのは正解だったと思いますし、これまでのところ、そのことが証明されています。日常的に使わない、年末まで必要ない現金を預けるのに適した場所であり、何らかのリターンも得ることができるのです。

企業財務の観点から考えると、ビットコイン市場の流動性の高さには非常に満足しています。3月下旬に売却を行った際も、非常に迅速に実行することができました。

私たちは、ビットコインの価値を長期的に信じています。現在保有しているビットコインも長期的に保有し、顧客が車両を購入する際のビットコインも備蓄することを考えています」。

イーロン・マスクは「バランスシートに現金を保有するかわりにビットコインの流動性を証明しようとした」と述べた。

Bloombergでは、テスラのビットコイン運用が、世界中の企業の財務担当者がビットコインを意識するようになったと伝えている。

ビットコインの企業での運用も、テスラの「発明」になるのかもしれない。


テスラ ベルリン ギガファクトリーの完成図

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