脱炭素社会の実現に向け、燃やしてもCO2を出さないアンモニアで動く船を推進する動きが拡大している。伊藤忠商事は国内外の企業とともに6月11日、アンモニアを燃料にする船舶の導入を加速させるため協議会を立ち上げた。海運、造船、電力などの業界から23社が参加する。
化学肥料の原料などに使われるアンモニアは、ありふれた物質のひとつだ。しかし、燃やしてもCO2を出さないという特性から、海運業界でも新たな燃料にしようと注目を集めている。
伊藤忠商事は国内外の企業とともに、アンモニアを動力源にした船舶の普及拡大に向け6月11日、協議会を設立した。参加したのは23社。宇部興産や川崎汽船、東京電力と中部電力の合弁会社であるJERAのほか、海外からは石油メジャーのトタル子会社や北欧最大のエネルギー企業エクイノールなど13の企業・団体が加盟した。
海運業界におけるCO2排出量は2018年で約9.2億トンと、2012年から8.4%増加した。今後も海上輸送の拡大が見込まれており、CO2排出量の増加に歯止めがかからない状態だ。
そのため2050年までにCO2排出量を半分に減らし、今世紀中のできるだけ早い時期に排出ゼロにすることが求められている。実現に向けては、水素に比べ、輸送や貯蔵が比較的容易であるアンモニアを船舶燃料に利用する動きが世界的に広がっている。
ただ課題も多い。現状ではアンモニアは天然ガスなど化石燃料からつくられており、その製造過程でCO2を排出してしまうからだ。また日本はその多くを海外からの輸入に頼っており、安定的なサプライチェーンの構築が欠かせない。
そこで協議会では、アンモニア船などの安全性確保はじめ、船舶燃料としての仕様評価、さらに製造時におけるCO2排出量の削減、そしてサプライチェーンの構築などを目指していく。
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