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大和証券、MS&AD 脱炭素に向け、石炭火力向け投融資を相次ぎ厳格化

大和証券、MS&AD 脱炭素に向け、石炭火力向け投融資を相次ぎ厳格化

2021年06月29日

脱炭素社会の実現に向けた取り組みが進むなか、CO2排出量が多い石炭火力をどう減らすかが課題となっている。大手証券会社の大和証券グループと損害保険大手のMS&ADホールディングスは石炭火力発電向けの新規投融資を禁止する方針を明らかにした。脱石炭に向けた取り組みが、国内企業に広がっている。

大和証券グループ本社は、2021年8月1日から新たな石炭火力発電への投融資を禁止する方針に改める。

ただし、炭鉱採掘事業や石油・ガス開発事業向けの投融資に関しては、環境や生態系などに対する影響を総合的に評価し、そのうえで投融資の可否を判断するという。

石炭火力をめぐっては、MS&ADホールディングスも脱石炭に向けた取り組みを加速させている。

MS&ADホールディングスは6月25日、一部例外を除いて保険の引き受けや投融資をしないとした方針を厳格化し、今後、新設されるすべての石炭火力に対して、引き受けも投融資も禁止すると発表した。

住友商事に続き、三菱UFJにも脱炭素株主提案

一方、環境団体や投資家などは、脱炭素を掲げる金融機関や大手商社に対し、炭鉱業界など化石燃料に関わる企業への投融資が続いていると抜け穴を指摘している。投融資を続ければ、パリ協定と整合性が取れないとして、より踏み込んだ目標の策定など、さらなる厳格化を求めている。

オーストラリアの環境NGO「マーケット・フォース」は住友商事に対し、脱石炭などに対する抜け穴を指摘し、気候変動対策の強化を求める株主提案を提出した。この提案は否決されたが、20%の賛成率を集めた。

また、日本のNGO「気候ネットワーク」などは6月29日に開催される三菱UFJフィナンシャル・グループの株主総会に向けて、同様の株主提案を行っている。

石炭火力に対する批判は日に日に増しており、国に注がれる視線も厳しくなっている。

6月のG7開催前には、2030年までにすべての石炭火力を廃止するよう求める27万人分の署名が国に提出された。そのG7では、温室効果ガスの排出削減対策が講じられていない石炭火力に対する政府輸出支援を年内に終了させることで合意した。

世界的に脱石炭に向けた動きが加速するなか、日本の電源構成は、2019年度で再エネが18%に対し、石炭火力が32%になるなど、石炭依存度が高い。

すでにノルウェー政府の年金基金などの機関投資家は、石炭火力などに大きく依存する企業の株式を売却するなど、投資や融資を引き揚げ始めている。

日本、そして国内企業が石炭に依存し続ければ、いずれは日本全体が投融資の引き揚げ対象になるだろう。回避するためにも、脱炭素に向けた取り組みが求められている。

EnergyShift編集部
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