Googleは、2021年のアースデイに合わせ、同社の脱炭素の進捗状況を報告。すでにデンマーク、フィンランド、アイオワ、オクラホマ、オレゴンの5つのデータセンターがカーボンフリー電力の90%以上で稼働しているという。同社の動向を報告する。
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Googleのスンダー・ピチャイCEOは、2021年のアースデイに合わせたブログで、同社の脱炭素の進捗状況を報告した。
それによると、すでにデンマーク、フィンランド、アイオワ、オクラホマ、オレゴンの5つのデータセンターがカーボンフリー電力の90%以上で稼働しているという。
Googleでは10年以内に、すべてのデータセンター、クラウド、オフィスとキャンパスが24時間365日、カーボンフリーのクリーンな電力で稼働することを目指している。
そのために現在同社では、全世界で50以上の風力発電・太陽光発電のプロジェクトからクリーンエネルギーを購入する契約(PPA)を約40億ドル分締結している。2020年には多くのプロジェクトが稼働しはじめ、現在は5.5GWに達しているという。
カーボンフリーの目標はわかりやすく3段階にわけられている。
2007年:第1段階 自社の排出量をカーボンオフセットで相殺(カーボンニュートラル)
2017年:第2段階 年間電力使用量に相当する再エネを購入する(100%再エネ)
2030年まで:第3段階 データセンターやオフィスを含むすべてでカーボンフリーに
しかし、Googleのデータセンターの電力使用量は増え続けている。特に2020年は新型コロナウイルスの影響で、リモートワーク、学校、家族との面会などの多くがオンラインに移行した。Google MeetとDuo(ビデオ通話ツール)では2020年に1兆分を超えるオンライン通話がおこなわれたという。Googleの再エネ調達はそれにも対応し続けた。
別のブログで、Googleのクラウド担当者は、「100%クリーンエネルギーを目指すにはまず省エネだ」という。最近の研究で、データセンターなどの需要は550%増加したにも関わらず、世界のデータセンターの電力使用量は横ばいで、5年前と比べ、同じ電力量で7倍の計算量ができているという。
Googleは電力調達もグローバルにおこなっている。たとえば、北海の洋上風力発電はベルギーのデータセンターへ電力供給をおこない、チリのアントファガスタ地域でのPPAによる太陽光発電は南米へ電力を送り込んでいる。シンガポールでは何百もの公営住宅の屋根にソーラーパネルを設置した。
米国ではオクラホマ、アラバマ、バージニア等の各州でメガソーラーや風力発電のプロジェクトがおこなわれている。
こうした再エネ調達以外にも、データセンターのバックアップ電源をバッテリーに移行したり、再エネの時間軸追跡を進めたりとさまざまな取り組みをおこなっている。
全電力と購入した再エネの比率
Google Blogより
面白い取り組みのひとつがGoogle Mapだ。近日中にGoogle Mapでは、「最もCO2排出量が少ないルート」がデフォルトで表示されるようになるという。それだけでなく、ルートのCO2排出量の相対的な比較もできるようになるという。
Google Earthでのライムラプスでは、40年近い地球の画像を使い、気候変動が地球にどのような影響を及ぼしているか、理解の助けになるという。
Googleのクラウド担当者は「目標を達成するには、これまでの排出して補う、というネットゼロのモデルから、そもそも事業から炭素を排出しないという絶対的なカーボンゼロ(absolute zero)=カーボンフリーを目指すことが必要になる」とコメントしている。
スンダー・ピチャイCEOは、「私たちのカーボンフリーの目標は量子コンピューティングや自動運転など、他のムーンショット開発と同じくらい野心的なものだが、政府、企業、個人が一体となれば持続可能な未来を描くことができると信じている」と結んでいる。
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