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新電力の親会社が倒産 事業継続トラブルや再エネ賦課金未納により、グループ全体の信用力が失墜

新電力の親会社が倒産 事業継続トラブルや再エネ賦課金未納により、グループ全体の信用力が失墜

EnergyShift編集部
2021年05月10日

熊本を拠点に太陽光発電所の開発・販売やグループで新電力事業などを手がけるTakeEnergyCorporation(資本金4,950万円、代表竹元一真氏)が4月28日、熊本地裁より破産手続き開始決定を受けた。負債総額は4億円にのぼると見られる。

新電力事業や太陽光発電システムの開発・販売を手がけるTakeEnergyCorporationが倒産

TakeEnergyCorporationは2012年8月に、メガソーラーを中心とした太陽光発電事業を目的に設立されていた。

信用調査会社の帝国データバンクによると、熊本県を主体に自社で開発した太陽光発電所を50kW単位で区分けし、投資を目的とする事業者や一般個人に対して分譲販売する、いわゆる「低圧分譲販売」のほか、自社で所有している太陽光発電所「水増ソーラーパーク」(山都町)などから売電収入を得て、2016年7月期には約6億9,200万円の売上高を計上していたという。

また2014年3月には熊本電力を設立し、2016年の電力小売全面自由化を機に安売り攻勢を仕掛け、沖縄を除く全国で新電力事業を展開してきた。一般消費者を中心に順調に顧客を増やし、2021年1月には月間電力販売量が933万 kWhとなっていた。

しかしその一方で、熊本地震の影響から予定していた低圧分譲販売が思うように進まず、2017年7月期の売上高は約3億7,900万円にダウンする。また新電力事業でも同業他社との競合などで売り上げは低迷していた。さらにこの間、過去に大幅な欠損を計上していたことも影響し、実態は債務超過の状態が続いていたという。

関係会社の熊本電力も経営危機

2021年2月に入ると、関連会社である熊本電力が主力の電力調達先との間で、新電力事業の事業継続をめぐるトラブルを起こしてしまう。仕入れ先に熊本電力の契約者を奪い合う「契約上の地位移転」を起こされてしまい、新電力事業の事業継続が危ぶまれていた。

こうした中、4月には経済産業省から、再生可能エネルギーの普及のために電気の使用者が支払った納付金(賦課金)を納付しない新電力として、熊本電力の社名が公表されてしまう。

一連のトラブルにより、TakeEnergyグループ全体の対外信用力が失墜し、厳しい経営環境が続く中、債権者より破産を申し立てられ、今回の措置となった。帝国データバンクによると負債は約4億円にのぼるという。

親会社であるTakeEnergyCorporationの倒産によって、関連会社の熊本電力も破たんするのではないかと、市場関係者の間で警戒感が強まっている。

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