なぜ企業に脱炭素が求められるのか?「気候変動の影響はほぼすべての産業で受ける」日本気象協会 | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

なぜ企業に脱炭素が求められるのか?「気候変動の影響はほぼすべての産業で受ける」日本気象協会

なぜ企業に脱炭素が求められるのか?「気候変動の影響はほぼすべての産業で受ける」日本気象協会

EnergyShift編集部
2021年05月21日

台風や豪雨、酷暑などの気候災害が増えるなか、気候変動の影響はほぼすべての産業・経済活動で受けるという。日本気象協会は、2020年12月に環境省が公表した「気候変動影響評価報告書」に基づき、企業がなぜ脱炭素に取り組まなければならないのか、そのレポートを発表した。

重大な影響を受けやすいのは、食料品製造、金融・保険、レジャー業、建設業

気候変動影響評価報告書とは、民間企業が気候変動の影響を把握し、脱炭素に向けた取り組み強化につなげることを目的に、環境省が5年ごとに作成するレポートだ。2015年に1回目の報告書が作成され、2020年末に初めて改訂された。

改訂版では、製造業、食料品製造業、エネルギー、商業、小売業、金融・保険、観光業、自然資源を活用したレジャー業、建設業、医療、その他の11分野からなる産業・経済活動への影響が評価されている。

その評価によると、ほぼすべての産業・経済活動が気候変動の影響を受けるという。

なかでも「特に重大な影響が認められる」と評価されたのが、食料品製造業、金融・保険、レジャー業、建設業の4分野だ。

たとえば食料品製造業では米菓品質への影響、大麦供給量の減少によるビール生産への影響が予測されている。金融・保険では資産の損害や、保険損害・保険金支払額・再保険料などの増加が想定され、レジャー業ではスキー場などへの来客数、および営業利益の減少などが深刻化するという。

脱炭素に取り組まなければ、ほぼすべての産業において、企業経営が成り立たなくなる恐れがある。

脱炭素は待ったなしの状態

日本気象協会では、環境省の「気候変動影響評価報告書」をもとに、企業における気候変動戦略を立案、実行することで、脱炭素に取り組むことが重要だと指摘する。

具体的な取り組みについて、日本気象協会は食料品製造企業を事例に紹介している。

事業活動全般に影響を及ぼす可能性があるなか、重大かつ緊急性が高い影響とはどんなものなのか。日本気象協会では、洪水などによる自社施設への被害、あるいは熱中症などによる労働生産性の低下、そしてコメなどの品質低下、収穫量の減少などが重大かつ緊急性の高い影響だと分類する。

気候変動影響の整理とその重要性の評価をすることが、脱炭素戦略を立案するうえでのスタート地点になるという。

環境省の評価は、日本国内においてほぼすべての産業が気候変動の影響を避けられないことを示している。つまり、脱炭素は待ったなしの状態だということだ。

頻発する気象災害などを背景に、気候変動が企業の財務にどのようなリスクを与えるのか開示するTCFDに加盟する日本企業が増えているが、日本気象協会では「最新の情報を踏まえて、自社の気候変動影響評価の見直しを図るべきだ」と提唱している。

ニュースの最新記事