Siemens Energyは、Siemensのエネルギー事業部門が独立する形で、2020年4月1日に設立された企業だ。同企業では脱石炭を進め、再生可能エネルギーと分散型エネルギー資源にシフトし、運輸部門の低炭素化を進めている。その事業の一環として、中国でMW級のグリーン水素製造プロジェクトに着手する。
Siemens EnergyとChina Power International Development Ltd.(China Power)の子会社であるBeijing Green Hydrogen Technology Development Co., Ltd.は、水素燃料ステーションに水素製造システムを提供することで合意した。水素製造のための電力は、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーから供給され、製造された水素はCO2を排出しないグリーン水素となる。
建設される水素燃料ステーションは、Siemens Energyによる中国での最初のMW級の施設となる。2021年5月に供給を開始する予定。2022年に開催される主要なスポーツイベントの競技エリアの1つである、北京市の延慶区にある水素製造ステーションからは、公共交通機関へのグリーン水素の供給を行う予定。
背景には、2019年9月に、Siemens EnergyがChina Powerの株主であるState Power Investment Corporation Limited(SPIC)とのグリーン水素開発と包括的利用における協力に関する覚書への署名がある。今後、この2社間は、グリーン水素プロジェクトへの協力をさらに拡大することを計画しているという。
Siemens EnergyのCEO、Christian Bruch氏は、「パートナーとなるSPICとともに、気候変動への取り組みと二酸化炭素排出量の削減に重要な貢献をしていく」と述べている。
一方、SPICの会長、Qian Zhimin氏は、「SPICは、Siemens Energyと協力して、クリーンエネルギーの分野での協力を継続し、双方の補完的な利点を活用することに尽力している。共に力を合わせて、気候変動に対処するためにクリーンエネルギーの開発に貢献する」としている。
中核となるシステムは、Siemens EnergyのPEM(プロトン交換膜)電解システムSilyzer 200で、工業規模で高品質の水素を製造できるという。さらに、水素製造システムは迅速に応答し、圧力下での起動時間は1分未満であり、再生可能エネルギーと直接組み合わせることができることも特長。
参照
(Text:本橋恵一)
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