2030年の海面上昇で、東京は7.5兆円の被害 - グリーンピース調査レポート | EnergyShift

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2030年の海面上昇で、東京は7.5兆円の被害 - グリーンピース調査レポート

2030年の海面上昇で、東京は7.5兆円の被害 - グリーンピース調査レポート

2021年06月24日

2021年6月24日、国際環境NGOのグリーンピースは、気候変動が原因で2030年に起こりうる極端な海面上昇がアジアにもたらす経済的影響を予測した報告書「2030年のアジア7都市における極端な海面上昇の経済的影響予測」を発表した

対象となった7都市は、東京をはじめ、バンコク、香港、ジャカルタ、ソウル、台北、マニラ。報告書によると、東京の海面上昇による経済的影響は、680億ドル(約7.5兆円)になるという。

また、これにあわせてシナリオ別の海面上昇シミュレーション・マップも公開した。

分析結果は以下の通り。

  • 2030年までにアジアの沿岸部に位置する7都市で、極端な海面上昇と沿岸部の浸水・冠水により、約1,500万人に影響を与え、推定7,240億ドル(約79.6兆円)の経済的影響が生じる。
  • 2030年に東京で極端な海面上昇による浸水・冠水などの危険にさらされるGDPは680億ドルに相当。これはバンコク、ジャカルタに次いで高く、東京のGDPの7%に相当する。
  • 東京を含む多くの都市で土地の沈下が進み、海面の上昇率をさらに増加させている。
  • 東京湾の埋立地や沿岸部などは海面上昇と高潮浸水の脅威にさらされている。
  • 東京東部の墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区は極端な海面上昇による大きな影響が予測される。一方、シミュレーション・マップでは、東京以外の場所についても、海面上昇の影響を示しており、以下の点が指摘されている。
  • 2030年または2050年という近い将来であっても、厳しい温室効果ガスの排出規制対策を取るか否かで影響に差が出る地域がある。
  • 新潟市や秋田県大潟村、茨城県の利根川下流~霞ヶ浦周辺など稲作地帯でも冠水リスクは高い。
  • 2100年までに日本の人口の約30%が住む場所を失うリスクがある。

気候変動によって大気の平均気温が上昇することで、海水の膨張やグリーンランドおよび南極における氷河の融解が起こり、海面が上昇することが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書などによって指摘されている。また、熱帯における台風の発生の影響を受け、高潮などのリスクも高まることになる。

今回の報告書は、アジアの7都市に焦点をあて、「海面上昇と高潮や高波による沿岸部の浸水・海水面積」「人口密度」「購買力平価GDPデータ」の3つを用いた分析を行ったものだ。

グリーンピース・ジャパンの気候変動・エネルギー担当である高橋マヤ氏は、今回の報告書に関して、「海面上昇は日本にとって、もっとも身近な気候危機による脅威となり得ます。台風に伴う高潮などによって生じる海面水位のさらなる上昇は、人口の多い沿岸部を中心に経済・社会活動全体に大きな影響を及ぼすだけでなく、将来全国で多くの人たちが住まいを失うことにもなりかねません。こうした極端な海面上昇の被害を軽減するためには、防潮堤のような応急措置だけではなく、リスク対象の特定や脱炭素社会へのエネルギー転換など、長期的な視点に立った気候危機対策が不可欠です。地球温暖化、そして海面上昇を加速させないため、より野心的な気候目標と行動計画の早急な実現を求めます」と述べている。

EnergyShift編集部
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